「結婚に前向きになれる年収額」は540万円!? 実際“結婚に必要な年収”はいくらなの? 都内で暮らす費用をもとにシミュレーション
配信日: 2025.06.11

結婚に前向きになれる年収額の回答の平均は「540万円」である──こんな結果がSMBCコンシューマーファイナンス調べの「婚活・結婚に関する意識・実態調査(2025年)」から出ています。
30代前半男性の平均給与が492万円(2023年分の民間給与実態統計調査結果より)を50万円近く上回っているのです。
とはいえ、実際に結婚して生活していくとなれば、もっと現実的な数字が求められるかもしれません。本記事では、都内で共働き夫婦が家賃15万円の部屋に暮らすケースを想定し、どれくらいの生活費がかかるのか、どれほどの年収が必要なのかを試算します。
東京都内、家賃15万円で住むにはいくら必要?
東京都の調査によると、東京都内の勤労世帯の消費支出は37万2602円とされています(2024年「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報))。
ただし、この統計における住居費は2万7063円です。持ち家世帯や社宅などを含む平均額であると考えられ、実際に家賃15万円の賃貸物件に住む場合は、差額を考慮しなければなりません。
住居費を15万円と仮定し、差額の12万2937円を加算すると、消費支出は月約49万5000円となります。家賃15万円で平均的な生活をする場合は、年間約595万円が必要となるのです。
前述した結婚に前向きになれる年収額「540万円」であっても、かつ夫婦のどちらかが専業主婦(夫)となる場合は、家賃を下げるか、そのほかの出費を下げる必要が出てきます。
なお、前述の東京都の調査によると、東京都の消費支出は全国の1.15倍と言われているため、「もう少し余裕のある生活をしたい」という人は、東京都以外に住むことも1つの選択肢となりそうです。
年間595万円に必要な手取りは約800万円?
手取り率は家族状況や保険などの加入状況によって変わってくるので一概にはいえませんが、おおむね75%から85%といわれています。
逆算すると、東京都で家賃15万円の家に住んだ上で平均的な生活をするためには、年収ベースではおおよそ700万円から800万円弱が必要になると考えられるのです。
前出のSMBCコンシューマーファイナンスの調査では、「結婚当時の年収」についても回答が得られています。結果は男性が平均577万円、女性が平均384万円で、合計するとおよそ961万円です。この場合の手取りは721万円から817万円となり、東京都でも十分生活できる水準となります。
なお、民間給与実態統計調査結果の数字と比較してみると男性の場合は35歳から39歳までの平均額556万円よりも少し高い金額です。また女性はピークとなっている25歳から29歳までの平均年収353万円よりも高くなっています。
このことからも、経済的な安定が結婚の前提になっていることがうかがえます。
結婚と経済的安定は無関係ではない
結婚に前向きになれる年収として「540万円」が挙げられている一方で、実際に東京都内で家賃15万円の住まいを確保し、平均的な生活を送るには、夫婦合算で年収700万~800万円ほどが必要になると考えられます。
共働きであれば現実的に届く範囲ではありますが、一人で生活を支えるにはやや高い水準ともいえるでしょう。結婚のタイミングを考える際は、こうした生活水準とのバランスも意識しておくことが大切です。
出典
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 婚活・結婚に関する意識・実態調査
東京都 「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報) 2024年 家計収支の概況
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士