関東は最低賃金「1000円超え」らしいけれど九州は超えてない!地方によって差があるのはなぜ?
配信日: 2025.06.08

本記事では、関東と九州の最低賃金の比較や最低賃金の基本的な仕組み、地域差が生まれる理由を解説します。

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関東と九州の最低賃金
厚生労働省によると、令和6年度の関東と九州の1時間当たりの最低賃金は表1の通りでした。
表1
地方 | 都道府県 | 最低賃金 |
---|---|---|
関東 | 東京都 | 1163円 |
神奈川県 | 1162円 | |
埼玉県 | 1078円 | |
千葉県 | 1076円 | |
群馬県 | 985円 | |
栃木県 | 1004円 | |
茨城県 | 1005円 | |
九州 | 福岡県 | 992円 |
佐賀県 | 956円 | |
長崎県・鹿児島県 | 953円 | |
大分県 | 954円 | |
熊本県・宮崎県 | 952円 |
出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を基に筆者作成
このことから、関東地方一都六県の最低賃金単純平均は1068円、九州は959円(小数点切り上げ)で、109円の差があることが分かります。
最低賃金とは?
最低賃金とは、会社などが労働者に支払わなければならない給与の下限額を指します。これは「労働者を守るための最低ルール」であり、最低賃金未満の給料で契約することは法律で認められていません。最低賃金未満で契約した場合、その契約は無効とされ、最低賃金額が自動的に適用されます。
最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる賃金のみです。以下のようなものは、最低賃金に含まれません。
・賞与(ボーナス)
・結婚手当などの一時金
・残業代や休日出勤手当
・深夜勤務の割増分
・精皆勤手当や通勤手当、家族手当
また、最低賃金には2種類あります。
1つ目は、すべての業種、職種を問わず、都道府県ごとに一律に適用される地域別最低賃金です。2つ目は、製造業や運輸業など特定の業界に絞って設定された特定(産業別)最低賃金です。特定(産業別)最低賃金は、地域別よりも高い水準で定められています。
最低賃金の決め方
最低賃金は、最低賃金審議会という組織で決められています。ここでは、労働者代表、使用者代表、そして中立の立場にいる専門家(公益代表)の3者が集まり、現状の賃金データや物価などを基に話し合いを行います。
地域別最低賃金については、国(中央最低賃金審議会)が毎年示す目安額を基に、各都道府県の地方審議会で調整が行われるようです。これにより、全国的なバランスと地域ごとの実情の両立を図っています。
最低賃金を決める際の判断材料は以下の3つです。
・労働者の生計費
・労働者の賃金
・通常の事業の賃金支払い能力
特に生計費は、生活保護水準との整合性も考慮されており、健康で文化的な生活ができる金額かどうかが重要なポイントとなるようです。
一方、特定(産業別)最低賃金は、その業界の労使(労働者と使用者)が必要性を訴え、最低賃金審議会の審査を経て決定されます。
最低賃金が地域によって異なる理由
最低賃金が地域によって異なる理由は、地域によって経済の状況や暮らしにかかる費用、企業の支払い能力に大きな差があるためです。例えば、東京都は物価も高く、企業の売り上げ規模も大きい傾向にあります。それに比べて地方では生活コストも企業規模も小さいケースが多いでしょう。
前述しましたが、最低賃金は労働者の生計費や賃金、企業の賃金支払い能力を総合的に考慮して決定されています。そのため、物価が高く企業規模が大きい東京都では最低賃金が高く、東京都ほど物価も企業規模も大きくない地方は最低賃金が安くなるのです。
このように、地域に根差した現実的な判断がなされているため、地域ごとに最低賃金が異なっているのです。
最低賃金に地域差があるのは生計費や企業の支払い能力などに差があるから
最低賃金の平均は、関東が1068円、九州では959円と差があります。差が生まれる理由には、物価や企業の支払い能力、地域ごとの生活コストなどが関係しています。地域の実情を踏まえて丁寧に調整されているからこそ、差が生まれているのです。
また、最低賃金は企業が労働者に支払わなければならない最低金額です。自分の最低賃金がいくらか知らないと、損をしてしまうかもしれません。最低賃金を確認し、しっかり支払われていることを確認しましょう。
出典
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧 令和6年度地域別最低賃金改定状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー