大学生の息子が、入学2ヶ月で「辞めたい」と発言。今後の“生涯賃金”も考えると大学を出てほしいのですが、「大卒・高卒」でどれだけの差になるでしょうか? それぞれの賃金を比較
配信日: 2025.06.08

しかし、「学習についていけない」「想像していたものと勉強内容が違った」など、さまざまな事情から大学に通うのが難しくなり、退学したいと親に相談する子もいることと思います。
子どもの幸せを考える親としては、「大学を辞めてわが子が幸せに暮らせるか」を何よりも気にするのではないでしょうか。
本記事では、大学を卒業するメリットと大学卒と高校卒の生涯賃金の違い、退学せずに大学から距離をとる「休学」という選択肢について解説します。

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大学を卒業することのメリット
大学を卒業する大きなメリットとして、就職活動の幅が広がる点が挙げられます。
新入社員を募集している企業が提示する応募条件として「大学卒以上」という指定があるケースは珍しくありません。
例えば、企業のなかでも将来の幹部候補にあたる「総合職」では大学卒が応募条件の1つになっていることも多く、その場合は大学卒の資格がないと就職活動で応募することができません。
大学中退は「高校卒」としての扱いを受けるため、大学卒が求められる仕事に応募するチャンスを失うことになります。
また、高校卒と比較して大学を卒業したほうが人脈が広がるメリットもあります。大学は高校よりも幅広い国・地域から学生が集まっており、自分とは違う出自や価値観、年代の人と知り合えるチャンスがあります。
将来的に転職や独立を考える際、大学で構築した人脈に助けられることも考えられるでしょう。
大学卒と高校卒の生涯賃金の違い
大学を卒業してから働き始める際のメリットとしては、生涯賃金が大きく異なる点もあります。大学卒と高校卒では基本給に差が出るのが一般的で、企業によっては月に数万円、年収で数十万円ほど大学卒の基本給のほうが高い設定になっていることがあるためです。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、大学卒の年収は男女・全年齢の平均で589万4400円(月給38万5800円×12ヶ月+平均賞与126万4800円)、高校卒は422万8500円(月給28万8900円×12ヶ月+平均賞与額76万1700円)でした。
単純計算で年収に約160万円の違いがあります。上記の年収で、大学を中退して20歳から65歳まで働くと生涯年収は約1億9000万円ですが、大学を卒業して22歳から65歳まで働くと約2億5300万円となります。
生涯で6000万円以上の賃金差になるため、お金の面では大学を卒業したほうが有利です。
大学を中退したいと子どもから相談を受けた場合、この生涯賃金の差を理解したうえで、それでも辞めなければいけないのか、親子で慎重に話し合った方がいいでしょう。
大学から離れたくなったときは「退学」以外に「休学」という選択肢もある
大学を辞めたい理由によっては、退学ではなく休学という選択肢も視野に入れて親子で話し合うことをおすすめします。
退学して最終学歴が大学中退となると、高校卒として就職活動をすることになり、仕事の選択肢が狭まる上に6000万円以上の生涯年収を失う可能性があります。
一方、休学であれば一時的に大学から離れて自分の人生や将来を考えるきっかけになり、復学して卒業を目指す選択肢を残すことができます。
まとめ
子どもが大学を中退するか否かは個人の自由ですが、失うメリットが大きいことも事実です。
子どもから大学中退の相談を受けた場合、理由をよく聞いたうえで、大学を卒業することのメリットや生涯年収の差など、中退した場合に子どもが失う人生のメリットをふまえ、慎重な検討を促すことをおすすめします。
出典
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 学歴別
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー