大学無償化の対象世帯です。「無料」で通えるのなら進学した方がメリットが大きいですか?高卒と大卒で生涯年収はどのくらい変わりますか?
配信日: 2025.06.07

しかし、進学には学費以外にも生活費や教材費などの費用がかかるため、全体的な費用を考慮する必要があります。また、高卒と大卒では生涯年収に大きな差があることも事実です。進学を検討する際は、これらの要素を総合的に考慮し、自身の将来設計に合った選択をすることが重要です。

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大学無償化制度の概要と対象条件
2025年度から拡充される大学無償化制度は、正式には「高等教育の修学支援新制度」と呼ばれ、多子世帯を対象に、入学金や授業料の国が定める上限額までの減免を行うものです。
対象世帯は、子どもを3人以上扶養している多子世帯です。2025年度からは多子世帯について所得制限が撤廃され、より多くの世帯が対象となります。支援内容は、入学金や授業料の国が定める上限額までの減免です。実際の学費が上限を超える場合は全額無償化にはなりません。
対象校は、国内の大学、短期大学、高等専門学校、専門学校などです。ただし、施設費や教材費、生活費などは支援の対象外となるため、これらの費用は自己負担となります。
高卒と大卒の生涯年収の違い
進学を検討する際、将来的な収入の違いも重要な要素です。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2024 ―労働統計加工指標集―」によると、学歴による生涯年収の差は表1のようになっています。
【表1】
学歴 | 生涯年収 |
---|---|
高卒 | ・男性 約2億7000万円 ・女性 約1億9000万円 |
大卒 | ・男性 約3億3000万円 ・女性 約2億6000万円 |
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2024 ―労働統計加工指標集―」をもとに筆者作成
このように、大卒者は高卒者に比べて、男性で約6000万円、女性で約7000万円の生涯年収の差があると推計されます。この差は、初任給の違いや昇進・昇給の機会の多さなどが影響しています。
進学によるメリットと注意点
大学進学には、以下のようなメリットがあります。
●専門知識の習得
専門的な知識やスキルを身につけることで、就職の幅が広がります。
●人脈の構築
大学での出会いやネットワークは、将来のキャリアにおいて重要な資産となります。
●自己成長の機会
多様な価値観や経験に触れることで、視野が広がり、自己成長につながります。
一方で、以下の点には注意が必要です。
●生活費の負担
学費が無償化されても、生活費や教材費などの費用は自己負担となります。
●成績要件の維持
無償化制度を継続して受けるためには、一定の成績要件を満たす必要があります。
●就職活動の準備
大学卒業後の就職活動に向けて、早期からの準備が求められます。
進学の選択は将来への投資
大学無償化制度の導入により、多子世帯の学生は経済的な負担を軽減しながら進学することが可能となります。高卒と大卒では生涯年収に大きな差があることからも、進学は将来への投資と言えるでしょう。
ただし、生活費や成績要件の維持など、進学にはさまざまな課題も伴います。これらを総合的に考慮し、自身の将来設計に合った選択をすることが重要です。
出典
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2024 ―労働統計加工指標集―
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー