社会人2年目だけど、先輩に「6月から手取りが減る」と言われました。今は「手取り20万円」ですが、どれくらい減るのでしょうか? 金額をシミュレーション
配信日: 2025.06.06

どれくらい減るのかと不安に感じる人や、これ以上減ったら生活が苦しくなると思う人もいるでしょう。
社会人2年目に手取りが減る人が多いのは事実です。本記事ではその理由と、手取り20万円の人を例にどれくらい減るのかをシミュレーションします。
6月から手取りが減るのはなぜ?
社会人2年目の6月から手取りが減る人が多い理由は、このタイミングから住民税の徴収が始まるためです。住民税は、前年の所得をもとに計算された金額を、6月から翌年5月にかけて給与から天引きで支払う仕組み(特別徴収)になっています。
社会人1年目の6月時点では、前年の所得が少なく、住民税の徴収が発生しなかった人がほとんどだったはずです。しかし、社会人2年目の6月からは、社会人1年目(4月から12月)の所得に応じた住民税の徴収が始まります。多くの人はこのタイミングで給与から住民税が天引きされるようになり、手取りが減ってしまうのです。
今の手取り20万円の人はどれくらい手取りが減る?
手取りが20万円の人は、社会保険料や所得税を引く前の額面が、おおよそ24万円と考えられます。
例えば、額面が24万円で東京都の協会けんぽに加入している場合、健康保険料が1万1892円、厚生年金保険料が2万1960円、雇用保険料が1320円、所得税の源泉徴収が4910円です。合計で4万82円が控除され、手取りは19万9918円となり手取り約20万円となります。
この人が前年4月に入社し、額面24万円の給与を4月から12月の9ヶ月間受け取り、さらにボーナス2ヶ月分として48万円を受け取っていた場合、つまり1年目の収入が264万円だった場合、住民税はいくらになるか考えましょう。
住民税は、均等割5000円(森林環境税含む)と、課税所得に対して課される所得割(10%)の合計です。課税所得は給与収入から次の各種控除を差し引いて求めます。
・給与所得控除 87万2000円
・社会保険料控除 38万6892円
・基礎控除 43万円
これらの控除を差し引いた課税所得は95万1000円(1000円未満端数切り捨て)です。この10%に当たる9万5100円が所得割となり、均等割5000円と合わせて住民税の年額は10万1000円となります。
この金額を6月から翌年5月までの12ヶ月で分割するため、このケースでは毎月約8400円の支払いが生じるのです。この分だけ、毎月の手取りが減少することになります。
ただし、今回は入社後の給与のみをもとに計算していることに注意が必要です。住民税の対象となる所得には、就職前に得たアルバイト収入なども含まれます。
卒業前(入社年の1月から3月)にアルバイトをしていると、住民税がさらに高くなり、手取りがより減少するのです。
6月の手取り減に備えよう
住民税による手取りの減少は、制度上避けられない変化です。これまでと同じ手取りが続くと想定して生活をしていると、6月以降に家計に大きな影響が出ることがあります。
そのため、6月からの変化をあらかじめ理解し、生活費の見直しや固定費の調整、貯蓄計画の再検討など、家計への影響を最小限に抑えるための備えが重要です。
なお、6月から手取りが減る可能性があるのは社会人2年目の人だけではありません。前年に昇給したなど、一昨年に比べて昨年の収入が増えている人も同様に手取りが減る可能性があります。
6月は住民税によって手取りが変わる可能性がある、ということは全ての人が念頭に置いておくべきことなのです。
出典
東京都主税局 個人住民税
全国健康保険協会 令和7年3月(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
厚生労働省 令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内
国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和7年分)
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士