
法律上の争いを解決するための仕事をしていることは分かりますが、年収や求められる能力にも違いがあると考えられます。本記事では、弁護士と検事それぞれの仕事内容や年収の目安などをご紹介します。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
弁護士と検事の「年収」の違い
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、法務従事者の「きまって支給する現金給与額」77万800円、「年間賞与その他特別給与額」は196万7200円です。年収を計算すると、77万800円×12ヶ月+196万7200円=1121万6800円となります。
ただし、ここでいう「法務従事者」には弁護士以外にも、弁理士や司法書士、土地家屋調査士が含まれているため、弁護士のみの年収とは異なるでしょう。
そこで、日本弁護士連合会が公表している「弁護士白書2023」を基に弁護士の収入の中央値を見てみると、1500万円となっています。ただし、勤務形態や経験年数、活動地域によって収入には大きな差があるため、あくまで参考値として捉えるとよいでしょう。
一方、検事の報酬は「検察官の俸給等に関する法律」で定められています。検事は検察官の一種なので、ここでは「検察官」として記載します。
例えば、検察官のトップである検事総長の俸給月額は148万6000円、次長検事は121万6000円となっています。検事は1号~20号までの階級があり、1号が119万1000円、検察官のキャリアのスタートとなる20号は26万5300円です。これに賞与となる手当がプラスされることになりますが、弁護士と検事どちらの年収が高いかは検事の階級によるでしょう。
弁護士と検事の「仕事内容や求められる能力」の違い
弁護士は民事、刑事事件において依頼人の弁護活動などをおこないます。依頼者の立場に立ち、依頼者の利益を実現するために活動します。具体的には、法律相談や示談交渉・訴訟活動・不服申し立てなどがおもな仕事です。
弁護士に特に求められる能力として、論理的思考力やコミュニケーション力が挙げられます。法律的な知識で事実関係を分析し、結論を導き出すためには論理的に考える力が必要不可欠であると考えられます。
また、さまざまな相手が依頼者となるため、相手に応じてコミュニケーションをとれる能力も必要でしょう。
一方の検事は、犯罪を捜査したうえで、被疑者を起訴するかどうかを決定する権限を持ちます。捜査記録から証拠関係を分析し、被疑者や参考人の取り調べをおこなったり、警察に補充捜査をおこなわせたりすることもできます。
検事には、罪を犯した人に適切な刑罰が科されるよう導くための正義感や責任感、そして粘り強く業務に取り組む持続力や集中力が求められるでしょう。
弁護士・検事になる方法
弁護士と検事では、その仕事に就くための方法も異なります。弁護士は法科大学院で勉強後、司法試験に合格し、司法修習生として研修を受ける必要があります。
研修後、日本弁護士連合会に弁護士登録されてから実際に働き始めることが可能です。法科大学院に通えない場合は予備試験に合格することで司法試験を受験できるため、年齢や学歴にかかわらず目指すこともできます。
一方、司法試験に合格して司法修習を終えた人のほか、以下に当てはまる人が検事になる資格を持ちます。
・裁判官(判事・判事補)
・弁護士
・特定の大学において、3年以上、法律学の教授または助教授の職に就いていた人
・3年以上副検事の職にあって、検察官特別考試に合格した人
このように、検事になるにはいくつかのルートがあるため、確認しておくとよいでしょう。
弁護士と検事の年収の差は検事の階級などによる|論理的思考力が求められる弁護士と正義感やタフさが求められる検事
弁護士と検事はどちらも法律の専門家ですが、年収や求められる能力に違いがあると考えられます。
弁護士の年収の中央値は1500万円ということですが、検事は階級によって俸給月額が異なるため、どちらが高いかは一概にはいえないでしょう。
また、求められる能力については、弁護士は論理的思考力やコミュニケーション力、検事は正義感や責任感、タフさなどが挙げられます。それぞれに異なるやりがいと使命があり、自分の適性や目指したいキャリアに応じて進む道を選べるのが、法律の世界の魅力のひとつでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 第1表 職種
日本弁護士連合会 基礎的な統計情報(2023年)
e-GOV 検察官の俸給等に関する法律
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー