「保育士の待遇改善」が進められているそうです。子どもの将来を担う「保育士」の年収は実際どのくらいなのでしょうか?

配信日: 2025.06.03

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「保育士の待遇改善」が進められているそうです。子どもの将来を担う「保育士」の年収は実際どのくらいなのでしょうか?
共働き世帯もさほど珍しくない昨今、育児の一端を保育所に頼ることになる親御さんは少なくないと思われますが、保育所を支える「保育士」の待遇改善に関するニュースも散見されます。待遇への不満も大きいともいわれる保育士ですが、年収は実際どのくらいなのでしょうか。
 
本記事では保育士の年収平均や実態調査の結果をご紹介しつつ、待遇改善が叫ばれる背景についても解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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「保育士」の年収は「380万円~410万円」程度

厚生労働省の実施した「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に計算すると、「毎月きまって支給する現金給与額」の12ヶ月分と、「年間賞与・その他特別給与額」を合計した保育士の平均年収は、企業規模によって差はありますが概ね「380万円~410万円」程度となっています。
 
一方で、国税庁の実施した「令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-」によれば、給与所得者全体の年間給与平均は「460万円」です。保育士の平均年収が高く見積もっても410万円ほどであることを考えれば、少なくとも給与面の待遇が特段優れているとはいえないことが分かります。
 

「約6割」の保育士は給与・賞与等に不満を感じている

こうした待遇への不満は、現役保育士へのアンケート調査にも表れているようです。
 
東京都福祉局が株式会社サーベイセンターを通じて実施した「東京都保育士実態調査結果 」の報告書によれば、調査項目のうち「給与・賞与等」の満足度については「やや不満」が18.3パーセント、「不満」が19.5パーセント、「非常に不満」が21.2パーセントとなっています。
 
また「現在の職場で働き続けるために充実を希望する項目」については「給与」が79.4パーセント、「現在の職場で改善を希望する項目」も「給与・賞与等の改善」が62.7パーセントと、半数以上の保育士が給与・賞与等に不満を感じているようです。
 
また、保育士退職意向の理由も「給料が安い」が61.6%でトップであり、離職の一大要因にもなっていることが見て取れます。
 

「保育士等の処遇改善」が進められている

保育士の給与が平均よりも安い要因のひとつとして、保育所が利益を上げることが難しい点が考えられます。国から認可を受けて運営される保育所のことを「認可保育所」と呼びますが、認可保育所は国からの補助金を受けて運営され、公共性を確保する目的で保育料が無償化されていることから、利益を追求できるサービスが限られているためです。
 
こうした保育士の待遇改善には行政も動き出しており、給与面については「施設型給付費等に係る処遇改善等加算」という制度が存在します。
 
これは一般に「処遇改善加算」あるいは「処遇改善手当」と呼ばれ、自治体から補助金を受けて運営される「認可保育所」に対し、加算の条件に該当する保育士の人数分の補助金を国が支給するものです。
 
補助金は保育所側で分配されますが、給与明細には基本給と分けて記載されるため、保育士は自分が受け取った手当の金額を知ることができるようになっています。
 

まとめ

子どもたちの将来を担う保育士という職業の給与面での待遇は、収益を確保しづらい認定保育所の運営方法も背景にあり、あまり優れているとはいえません。しかしながら、処遇改善の動きは着実に進められることが予想されるため、今後も行政の動向に注目したいところです。
 

出典

e-Stat 政府統計の総合窓口 令和6年賃金構造基本統計調査
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
東京都福祉局 東京都保育士実態調査 結果の概要
こども家庭庁 施設型給付費等に係る処遇改善等加算について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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