「医学部」と学費がかわらない「歯学部」は「コスパが悪い」という話を聞きました。「医者」と「歯医者」はどの程度「生涯年収」が異なるのでしょうか?
配信日: 2025.06.02

しかし、先述したうわさ話を真に受けて、最初から医学部を目指している方もいるかもしれません。このうわさ話は真実なのでしょうか。
本記事では、国立大学と私立大学における「医学部」「歯学部」の学費や、「医者」と「歯医者」の生涯年収について解説します。

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目次
国立大学の場合「医学部」と「歯学部」の学費は「約350万円」でほぼ同額
文部科学省では、「学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)(第一条関係)(抜粋)」を基に、「医学を履修する課程、歯学を履修する課程、薬学を履修する課程のうち臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とするもの又は獣医学を履修する課程については、前項本文の規定にかかわらず、その修業年限は、六年とする。」と記述されています。
国立大学の学費は、文部科学省が定めた標準額に基づいて決まっており、入学料が28万2000円、年間授業料は53万5800円です。つまり、医学部・歯学部どちらも、6年間の学費は349万6800円となります。
私立大学の場合は「3000万円以上」の学費がかかる可能性も
私立大学の場合、国立大学よりも高い学費が要求されるようです。文部科学省が公表した「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」を参考に、必要な学費をまとめました。
表1
医学部 | 歯学部 | |
---|---|---|
入学料(1年目のみ) | 136万98円 | 59万4849円 |
年間授業料 | 265万6053円 | 321万8227円 |
施設設備費 | 106万3284円 | 56万8631円 |
実験実習費 | 29万323円 | 1121円 |
その他 | 146万1294円 | 97万255円 |
6年間の合計学費 | 3418万5822円 | 2914万4253円 |
出典:文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」を基に筆者作成
表1から、医学部の学費は6年で3418万5822円、歯学部の学費は6年で2914万4253円であることが分かります。国立大学と比べて、私立大学は2500万円〜3000万円程度学費が高くなるようです。
また、私立大学の場合は、医学部の学費が歯学部の学費より500万円以上高いため、学費面だけで考えると歯学部の方がコスパはいいように見える方もいるかもしれません。
医師と歯科医師の生涯年収は「6400万円以上」の開きが
私立大学の学費は医学部の方が高いようですが、それぞれの学科で卒業後に就職する「医師」「歯科医師」ではどのくらい生涯年収の差があるのでしょうか。
厚生労働省が公表した「令和6年賃金構造基本統計調査」を基に、医師・歯科医師として定年まで勤務医として働いた場合の生涯年収を算出しました。
なお、医師は24~60歳まで、歯科医師は大学歯学部で6年間学び、国家試験を合格したあとに臨床研修を1年間行うため、25~60歳までの生涯年収を算出しました。
医師:5億922万5900円
歯科医師:4億4428万3000円
上記から、医師と歯科医師の生涯年収は、医師の方が6494万2900円高い結果となりました。ただし、医師や歯科医師はどちらに入職しても一般的な給与所得者に比べると十分高い水準の生涯年収を貰える可能性があります。
まとめ
国立大学の学費は文部科学省が定めた標準額に基づくため、医学部と歯学部で学費に差はないようです。
一方、私立大学の学費は医学部の方が歯学部より500万円以上高い結果となりました。生涯年収に関しては医者の方が歯科医師より6400万以上高いようです。しかし、どちらも一般的な給与所得者より高い水準の給与を貰える可能性があるため、歯学部はコスパが悪いとは言い切れないかもしれません。
出典
文部科学省 令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
文部科学省 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)(第一条関係)(抜粋)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー