更新日: 2024.09.06 年収
社会人1年目、同期が「住民税非課税世帯」の給付金10万円の対象になるようです。同じ給与の自分は“対象外”のようですが、なぜでしょうか…?
実際にどのような世帯が住民税非課税世帯に当てはまるのでしょうか。具体的な例をシミュレーションしてみましょう。
10万円給付の対象となる「住民税非課税世帯」とは
住民税が非課税となる世帯の条件は各市町村によって異なりますが、ここでは東京都港区のホームページに記載の内容を紹介します。
(1)その年の1月1日現在で、生活保護法による生活扶助を受けている人。
(2)障害者、未成年者、ひとり親、寡婦(夫)の人で、前年の合計所得が135万円以下(給与収入なら204万4000円未満)、(令和2年度までは125万円以下)の人。
(3)前年の合計所得が一定の所得以下の人。
35万円×(本人+被扶養者の人数)+21万円(21万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円(令和3年度から加算)
なお、所得割の非課税の場合は、次の所得以下の人。
35万円×(本人+被扶養者の人数)+32万円(32万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円(令和3年度から加算)
また、同じく港区ホームページでは、「港区住民税非課税世帯等生活支援給付金」によって10万円の給付金が支給される世帯の要件は以下のようになっています。
基準日(令和5年12月1日)時点で、港区に住民登録があり、世帯全員の令和5年度分の住民税所得割が非課税である世帯
※以下の場合は対象外になります。
●住民税非課税世帯の対象世帯
●住民税が課税されている方の扶養親族のみで構成される世帯
●世帯内に、租税条約の適用を届け出ている者がいる世帯
東京都港区に居住する人においては、「世帯全員が、住民税所得割が非課税であること」が10万円給付金支給の対象となります。よって、質問にある「10万円の給付金を受け取れる同僚」は、世帯全員が「住民税所得割が非課税」の扱いとなっていると思われます。
同じ額面年収でも、住民税非課税世帯になる場合・ならない場合がある
前記の通り、住民税所得割が非課税である人の所得額は、以下の式で算出される金額以下です。
35万円×(本人+被扶養者の人数)+32万円(32万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円
あくまで住民税がかかる所得は「前年の」所得額についてですので、社会人1年目で、前年に給与所得などを全く得ていないのであれば、もれなく「住民税非課税世帯」にあてはまるはずです。
しかし前年にアルバイトなどで一定額の所得を得ている場合は、社会人1年目でも「住民税非課税世帯」に当てはまらない場合があります。例えば、前年にアルバイトなどで45万円以上の所得を得ており、現在一人暮らしであるひとは、「住民税所得割非課税」と判定されません。
35万円×1名+10万円=45万円
仮に同僚も一人暮らしであるとして、前年の所得が45万円未満であった場合、同僚は「住民税所得割非課税」と判定されます。また同僚がほかの家族と暮らしていたとしても、同僚以外の家族も全員住民税非課税の状態にあったのであれば、同僚の世帯は「住民税非課税世帯」に該当することになります。
このように今年の給与額が同僚と同額であっても、それぞれの前年の所得額が異なる場合は「住民税所得割非課税」と判定される場合とされない場合がある、ということになるのです。
まとめ
給与の支給額が同じであっても、「住民税非課税世帯」の給付金10万円を受け取れる対象となるかどうかは、前年の所得金額と、扶養している家族の人数や状況、居住する地方自治体の定義により変動します。
自分の世帯は「住民税非課税世帯」に該当するかを詳しく知りたい場合は、お住まいの市町村役場へお問い合わせてください。
出典
港区ホームページ 住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。
港区ホームページ 「港区住民税非課税世帯等生活支援給付金」追加支給のご案内
国税庁 No.1410 給与所得控除
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント