更新日: 2024.02.06 年収

年収「1000万円」と「600万円」、手取りにするとどれだけ違う? 会社員でも「節税」しやすい3つのポイントを解説

年収「1000万円」と「600万円」、手取りにするとどれだけ違う? 会社員でも「節税」しやすい3つのポイントを解説
2023年の「今年の漢字」は「税」でした。日頃から「消費税」などは目にすることが多くありますが、徴収される額が多い「所得税」や「住民税」は、会社員として働いているとあまり意識しない人が多いかもしれません。
 
年収(額面)の差が大きくても、手取りとなると年収より金額差が小さくなることもあります。その要因の1つが税金です。税金についての知識は、少し学ぶだけでも大きなメリットがあります。具体的な例として、年収1000万円と600万円の会社員の手取りを比較しながら、節税のポイントを解説していきます。

年収1000万円と600万円、額面の違いは400万円、手取りなら約270万円

手取りの金額とは、大まかにいうと年収から税金と社会保険料を引いた金額です。税金や社会保険料の金額は、ボーナス支給や各種手当などによる年収内訳の違いや、家族構成などによって利用できる控除も異なるため、同じ年収でも手取りは変わってくることを覚えておきましょう。
 
例えば、妻と子ども1人の3人家族で年収が1000万円の場合、手取り額は約740万円となります(配偶者と子どもは所得48万円以下、子どもの年齢は16歳以下、生命保険料控除等を考慮しない等の条件で試算)。
 
一方、同条件で年収600万円の場合、手取り額は約470万円となります。額面金額では400万円の差がありましたが、手取りになると金額の差は300万円以下になりました。手取り金額での差になると、年収(額面)で比較したときの差よりも金額が小さくなることが分かります。上手に節税できれば、さらに手取り収入の差を小さくすることも可能です。
 

会社員でも手取りを増やしやすい3つの節税方法

手取り収入を増やすためには「年収を増やす」か「税金を減らす」という2つの方法が考えられますが、ここでは税金を減らす方法に焦点を当てます。
 
所得税や住民税などの税額を減らすには、さまざまな控除を利用することが重要です。控除は、税率を乗じる前の課税所得から控除を行う「所得控除」と、税額から一定の金額を控除できる「税額控除」の2種類に分けられます。
 
詳細な説明は割愛しますが、所得控除には医療費控除や小規模企業共済等掛金控除(企業型確定拠出年金やiDeCoの掛金の控除)などがあります。税額控除には住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などがあります。
 
医療費控除を簡単に説明すると、年間10万円以上かかった医療費は医療費控除額として控除できるというものです。厳密にはどのような医療費なのか、保険金の有無なども影響しますが、仮に1年間で医療費が30万円かかった場合は、10万円を超えた分である20万円分を控除できます。
 
小規模企業共済等掛金控除は企業型確定拠出年金やiDeCoの掛金が全額控除できる仕組みです。例えば毎月2万円を拠出、所得税率が20%とした場合、24万円×20%=4万8000円の節税効果が見込めます。住民税率を10%とする場合、さらに2万4000円節税できます。
 
また住宅ローン控除は、借入金の残高や借入期間などによって一定の税額を控除できる仕組みです。住宅の区分や居住時期などによって控除できる期間が変わりますが、一般の新築住宅で2024年から居住する場合、最大で14万円の税額を控除できます。
 

利用できる控除を知っているかで大きな差がつく

本記事では会社員の人でも利用しやすい控除として、医療費控除、確定拠出年金の掛金控除、住宅ローン控除について触れました。このような控除で手取り収入を増やせるかは、控除についての知識が大きく影響します。
 
節税のためには「お金の話は自分には難しい」と諦めずに、税の仕組みについて興味を持つことがポイントです。ただし、具体的な金額や条件は個人の状況により異なりますので、自分だけで判断せずに税理士や税務署などに相談することをおすすめします。
 

出典

国税庁 所得税のしくみ
国税庁 No.1200 税額控除
 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

ライターさん募集