マグロ漁師について、まことしやかにこんな話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
海上生活が長い、遠洋漁業の漁師たちの船上生活は謎に包まれており、さまざまなうわさや都市伝説が存在します。
本記事では、マグロ漁師の過酷な労働環境と女性漁師について、有名な都市伝説の真偽についても解説します。



執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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漁師の平均所得は540万円
マグロ漁師のような漁師、さらに養殖施設で働く方々を含めた日本の漁業就業者は約15万人で、その平均所得は540万円程です。
国税庁の調査によると、日本の平均年収は443万円ですから、漁業就業者の所得水準は比較的高いといえます。
漁船は“女人禁制”?
今でこそ性別不問で、女性の漁師も存在しますが、かつての日本には「女は船に乗せない」という風習がありました。
船の神体は女性であるため、船に女性を乗せると、神様が嫉妬して魚を授けてくださらないという言い伝えなどもあって、漁船は女人禁制とされていたのです。地域によっては、漁具も女性には触らせないといった風習もあったほどです。
女性が漁に参加するようになったのは戦後
そもそも戦前の1930年代までは、漁船の動力化が進んでおらず、女性が漁業の中心的労働を担うのは、不可能に近い環境でした。
しかし、1950年から1955年の戦後の復興途上期において、男性の漁業就業者が減少する一方で、女性の漁業就業者の割合は14%から30%に急増しました。
これは船の動力化や養殖業の発達で、労働力としての女性の必要性が高まり、それを、戦後の女性解放理念の拡散が後押ししたものと考えられます。
都市伝説? 借金返済のためにマグロ漁師に……
借金のカタにマグロ漁船に乗せられるといううわさ話を聞いたり、フィクションでみたりしたことがある方も多いと思います。このうわさが本当なのか、検証してみましょう。
マグロ漁師は、基本的に年齢や学歴などが一切問われず、遠洋漁業なので、一度船に乗るとしばらくは帰ってこられません。
船上は生活費がかからず、使い道もなくお金は貯まる一方ですので、確かに借金返済の手段としては合理的です。
実は、1950年から漁業法が施行されるまでは、マグロ漁は自由漁業でした。そのため、かつては借金の返済のために、マグロ漁師の仕事をあっせんすることは不可能ではありませんでした。
しかし、現在は、農林水産大臣の許可を受けなければ、マグロ漁を行うことはできません。
それゆえ、借金のカタにマグロ漁船に乗せられるという話は、都市伝説の域を出ません。
マグロ漁師の収入と福利厚生
大手求人サイトで、マグロ漁師の収入や福利厚生をみてみると、多くの求人情報で月給25万円以上と記載されています。
有資格者であれば、年収1500万円という求人情報も存在します。
資格取得支援や、充実した育成トレーニングを完備している会社が多いのも特徴です。未経験者の求人も見受けられ、年齢・性別・学歴などは不問です。
また、求人情報によると、船上生活の間は生活費の負担がなく、お金を使う機会もないので、同じ年収の陸の仕事とは、比べものにならないくらいの貯金が可能なようです。
各種保険や危険手当も完備されていて、安心して仕事に打ち込める環境といえるでしょう。
労働環境の改善で女性も働きやすく!
平成期を通して減少傾向にある漁業就業者は、昭和63年から平成30年までの30年間で61%減少しており、常に人手不足の状態で、女性の活躍が望まれている分野でもあります。
また、水産庁補助事業の一環として、全国で「漁業カイゼン講習会」が開催され、労働環境の改善や、漁業労働の安全性向上の取り組みが行われています。漁師イコールブラックなイメージは、もはや過去の話です。
求人情報では、性別も不問となっており、体力に自信があれば、女性でも漁師として活躍できる可能性があるといえるのではないでしょうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー