更新日: 2020.07.26 働き方
ウィズ・コロナ時代のシェアリングエコノミーによる副業を考えてみる
どのような業種が大きな影響を受けたのか、あまり影響を受けなかったのか、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の調査資料をひもといてみましょう。
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
シェアリングエコノミーとは
まず、「シェアリングエコノミー」という言葉ですが「インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービス」と、シェアリングエコノミー協会では定義しています。
現在、日常的によく使っているサービスとして、「自分が車に乗らないとき、車を使いたい人にシェアするサービス」「あまり使わない駐車場を使いたい人にシェアするサービス」「自分の撮った写真を販売委託し、写真が必要な人にシェアするサービス」「ちょっとしたイラストを書いてくれる人を探していて、イラストが得意な人とマッチングするサービス」などがイメージされます。
モノや場所、スキルなどさまざまですね。
これらのシェアサービスを行う事業者と、それを利用して収入を得ている人たち(以下、シェアワーカーと呼ぶことにします)には新型コロナウイルスはどのような影響をおよぼしたのでしょうか?
大きな影響を受けた事業者、受けなかった事業者
一般社団法人シェアリングエコノミー協会が発表した「新型コロナウイルス感染拡大による影響に関するアンケート調査」の内容からまとめると、シェアリングエコノミー事業者の状況は次のようなものと判断されます。
■影響を受けた
・インバウンド関係のシェアリングエコノミー事業者は新型コロナのダメージを受けた(例 旅行者とガイドのマッチング/旅先での通訳サービス etc.)
・リアル体験やモノを媒介とするシェアリングエコノミー事業者は新型コロナのダメージを受けた(例 家事代行/傘のシェア/販売スタッフマッチング etc.)
■あまり影響を受けなかった
・オンラインでのサービスのやり取りをベースにしたシェアリングエコノミー事業者はあまりダメージを受けなかった(例 オンラインスキルシェア etc.)
・自粛期間の生活様式にマッチしたシェアリングエコノミー事業者の利用者は増えた(例 宅配型トランクルーム/プログラミング学習教材マーケットプレイス etc.)
収入が大きく減ったシェアワーカーも
それでは、シェアワーカーにはどのような影響があったのでしょうか?
まず、「仕事の減少・キャンセル等に直面している」という人が 80%に上ります。収入についても「80%以上減少した」という人が57.5%に上ります。
ところが「減っていない」という人も25%存在します。
どうして減らなかったのかはこの調査では示されていませんが、同調査でシェアワーカーがコメントしている「仕事や生活の不安や悩み」「今後のシェアサービスを活用した働き方について」から推測すると、次のようなことが考えられます。
・インバウンド関係のシェアワーカーは新型コロナのダメージを受けた
・リアル体験やモノを媒介とするシェアワーカーは新型コロナのダメージを受けた
・オンラインでのサービスのやり取りをベースにしたシェアワーカーはあまりダメージを受けなかった
・「複線化」(複数行う)を検討するシェアワーカーが増えてきた
シェアワーカーの声には、後ろ向きな声もありますが、「今後も継続していきたい」という前向きな声も見られます。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大は、まだ予断を許しません。
もうしばらくの間、シェアワーカーとして活動したい人には「オンライン対応」「複線化」がポイントになりそうです。
本当は、リアルで人とつながるのがシェアリングエコノミーの大きな楽しみなのですが、落ち着くまでは仕方ないですね。
[出典]
※一般社団法人シェアリングエコノミー協会「新型コロナウイルス感染拡大による影響に関するアンケート調査」
執筆者:藤木俊明
副業評論家