「一人暮らしの60代」です。貯蓄が「300万円ほど」しかないのですが、「平均」はどのくらいですか?

配信日: 2025.06.18

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60代になると、定年をむかえて収入が年金のみになる人がいるかもしれません。この場合、貯金を切り崩しながら生活するケースが考えられます。
 
しかし、貯金を切り崩していくと「いずれすべてなくなってしまうのでは? 」と不安になる人もいるでしょう。
 
本記事では、60代の貯蓄額や貯金の切り崩し額の平均を紹介し、貯金を切り崩しても生活していけるのかどうかについてまとめています。
FINANCIAL FIELD編集部

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60代の貯蓄の平均額と中央値

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、60歳代単身世帯における貯蓄の平均額は1468万円です。
 
ただし、平均額は極端に貯蓄額が多い一部の世帯によって全体的に引き上げられてしまうため、参考とするには適さないかもしれません。数値を小さい順から並べてちょうど真ん中にくる「中央値」を参考にした方がよいでしょう。60歳代単身世帯における貯蓄の中央値は210万円です。
 
これを踏まえると、今回の事例のように60代で貯蓄300万円は、平均で見たら少なく感じる可能性もありますが、中央値で見ると比較的多い方だといえるでしょう。
 
なお、金額ごとの割合としては「金融資産非保有」の33.3%、次いで「3000万円以上」の15.1%、「100万円未満」の8.5%となっています。
 

貯金の切り崩し金額の平均はどれくらい?

内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、預貯金の取り崩しをすることが「ある」「時々ある」と回答した人の割合は、60~64歳で60.7%、65~69歳では60.6%を占めています。1年間の取り崩し平均額については、60~64歳が7万9000円、65~69歳が8万5000円で、金額ごとの割合は表1の通りです。
 
表1

1万円未満 1~2万円未満 2~5万円未満 5~10万円未満 10万円以上
60~64歳 1.3% 7.2% 36.2% 25.5% 23.0%
65~69歳 1.5% 10.7% 32.8% 23.7% 23.3%

※内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」を基に筆者作成
 
60~64歳、65~69歳ともに「2~5万円未満」と答えた人が最も多くなっています。また、10万円以上取り崩している人も2割以上いることが分かります。
 
ほかの年代を見ると、70歳代の平均が7万円台、80歳代前半が7万円台、後半が5万円台というように、年齢によって取り崩し金額に違いがあるようです。
 

いくら貯金があれば平均額程度の金額を切り崩して生活できる?

では具体的に、どれくらい貯金があれば平均程度の金額を切り崩して生活できるのでしょうか。平均と同じくらいの金額の貯金を切り崩していると仮定して計算してみましょう。
 
例えば、65~69歳の切り崩し平均額である年間8万5000円を20年間切り崩した場合、ちょうど170万円になります。つまり、貯蓄額が170万円あれば年間8万5000円ずつ切り崩しても足りる計算です。
 
ただし、高齢になると医療費や介護費などがかさむ可能性もあるため、もう少し余裕をもてるような金額をためておいた方がよいかもしれません。60歳代の貯蓄の中央値である210万円を目安にするのもよいでしょう。
 

60代の貯蓄額の中央値は210万円|年間8万5000円ずつ切り崩すのであれば貯蓄が170万円あれば20年は持つ

60代単身世帯の貯蓄額の中央値は210万円です。貯金の切り崩し平均額は60~64歳が年間7万9000円、65~69歳が8万5000円なので、例えば年間8万5000円ずつ切り崩すと仮定すると、20年間で170万円になります。
 
つまり、貯蓄額が170万円あれば足りる計算にはなりますが、予期せぬ出費がかさむ可能性もあるため、余裕をもって貯金しておいた方が安心でしょう。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)
内閣府 令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果 第2章 調査結果の概要 -3
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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