子どもの教育費がかさみ貯金が「500万円」しかありません…。50歳からでも間に合う「老後2000万円問題」の対処法はありますか?
配信日: 2025.06.16

本記事では、「老後2000万円問題」について改めておさらいし、50歳からでも間に合う対処法を解説します。

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50歳代の二人以上世帯における金融資産保有額の中央値は「300万円」
まずは、50歳代の二人以上世帯における金融資産保有額はいくらくらいなのか見てみましょう。
金融広報中央委員会「知るぽると」が発表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和5年調査結果」によると、世帯主の年齢が50歳代の金融資産保有額の平均額は「1147万円」、中央値は「300万円」とのことです。
ただし、平均値は極端に高いデータや低いデータに引っ張られやすいため、中央値が実態に近いといえるでしょう。実際、「金融資産非保有」の世帯が27.4%、金融資産保有額「3000万円以上」が11.2%と極端なデータが見られます。
「老後2000万円問題」は時代によって変化している
「老後2000万円問題」は、時代によって変化していることをご存じでしょうか。そもそも、「老後2000万円問題」とは、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が2019年6月に公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書にて提示された問題です。
この報告書では、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)における1ヶ月の実収入(20万9198円)から実支出(26万3718円)を引いた約5万円を毎月の赤字額としています。この値を30年分積算した結果、約2000万円の取り崩しが必要であるとの試算が発表されたわけです。
では、令和6年の水準では老後資金はいくらくらい必要なのでしょうか。総務省統計局が発表した「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)における1ヶ月の家計収支を基に算出してみましょう。
可処分所得:22万2462円
消費支出:25万6521円
差額:3万4058円
老後30年で必要な老後資金:3万4058円×12ヶ月×30年=1226万880円
以上から、令和6年の水準では「老後1200万円問題」になっている可能性があるようです。
50歳からでも間に合う「老後2000万円問題」の対処法
ここからは、50歳からでも間に合う「老後2000万円問題」の対処法を3つ紹介します。
1つ目は、無駄な出費を減らすことです。まずは家計簿や預金通帳などで家計のお金の流れを把握しましょう。特に、保険料や自動車維持費といった固定費は、一度削減すればその後も効果が続くためチェックするとよいでしょう。
2つ目は、地道に毎月一定額を積み立てることです。給料が入った際、一定額を貯金に回すことで確実にお金を貯められます。貯蓄を差し引いた残りで生活費をやりくりする習慣を身につけやすく、無駄な支出を減らせるかもしれません。
3つ目は、iDeCoやNISAなどの税制優遇制度をフル活用することです。
iDeCoとは、自分で掛金を拠出して運用し、資産形成する年金制度のことで、60歳以降に老齢給付金として受け取れる制度です。掛金全額が所得控除の対象となるため、所得税・住民税の軽減に効果があります。ただし国民年金の被保険者(第1号・第2号・第3号、および国民年金の任意加入被保険者)であることが条件です。
一方、NISAは購入した金融商品から得られる利益が、一定の条件のもと非課税になる制度です。どちらも税金を軽減しつつ追加の収益が見込める制度のため、利用を検討してはいかがでしょうか。
まとめ
「老後2000万円問題」は、令和6年水準では「約1200万円」と、時代によって変化しています。無駄な出費を減らしたり、NISAやiDeCoなどを利用したりすることで、50歳からでも足りない老後資金を補っていきましょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」(10ページ、16ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー