職場の「有給申請書」から、理由を記入する欄が消えた! あれって実は違法だったの? 本当に“伝える必要はない”のか解説

配信日: 2025.06.06

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職場の「有給申請書」から、理由を記入する欄が消えた! あれって実は違法だったの? 本当に“伝える必要はない”のか解説
「友人と旅行に行きたい」「病院の予約がある」。さまざまな理由で有給休暇を使うことがありますが、有給休暇を取得する理由をあまり周囲には知られたくないという人もいるでしょう。
 
この有給休暇の申請方法は会社の規定によって異なりますが、基本的には取得希望日と取得期間を申請することがほとんどです。申請書類によっては「取得の理由」を求められることもありますが、現在はこの「取得の理由」については記入不要というケースも多いようです。
 
なぜ有給休暇の申請には理由が求められなくなったのでしょうか。本記事では有給休暇の申請と「取得の理由」の必要性について解説していきます。
新川優香

有給休暇とは

年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して、与えられる休暇のことで、取得しても給与が減ることのない休暇のことです。雇用形態や条件によって有給休暇を取得できる日数は異なりますが、一定の要件を満たしていれば、正規社員だけでなくパートタイム労働者やアルバイトでも有給休暇を取得することができるのです。
 

有給を取得するのに「理由」は必要?

労働基準法39条1項での規定では「有給休暇を与えなければならない」と記載されていますが、有給休暇の取得にどのような理由が必要であるかは明記されていません。つまり有給休暇を取得するにあたってはどのような理由でもいいため、法律上は「取得理由は不問」であるということになります。
 
そのため会社の申請でも取得の理由を伝える必要はなく、「私用」と伝えれば十分なのです。いままで「こんな理由で有給休暇を取ってもいいのか」と悩んでいた人も、理由を伝える必要がないので遠慮なく申請することができるでしょう。
 

有給の理由を聞くのもダメなの?

労働基準法では、有給休暇の申請に対して「理由は必要ない」という姿勢であるものの、逆に会社側が従業員に「理由を聞いてはいけない」とも記載されていません。つまり有給休暇の取得理由の確認自体は違法ではない、ということになります。
 
しかし、休暇取得の理由を聞くことで従業員が有給休暇を申請しづらくなる可能性があるため、あまり望ましくないといえるでしょう。場合によってはパワハラになってしまうこともあるので注意が必要です。
 
ただし、従業員が休暇を申し出る際には、「弔事の際は『御見舞金」が出るので教えてほしい」「海外に行く場合は万が一の時に連絡を取るのが困難なので事前に教えてほしい」といったように、取得の理由を聞いておきたい特別な事情がある場合は、相手に強制にならない範囲でお願いしてもいいかもしれません。
 

「理由」を伝える必要はないが、時と場合に応じて柔軟に

基本的に有給休暇の取得にあたっては、会社側が取得の理由を聞くこと自体に違法性はないものの、従業員にとって威圧的に感じられるとパワハラなどに発展する恐れがあるので注意しましょう。また有給休暇の取得は従業員の権利であり、プライベートなことなので、その取得の理由を伝える必要もありません。
 
ただし、休暇の行先や内容によっては業務に影響が出ることもあるでしょう。もちろん無理に取得理由を聞くことは望ましくありませんが、時と場合に応じて柔軟に理由を聞く、伝えるようにしてもいいのかもしれません。
 

出典

厚生労働省 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか
e-Gov法令検索 労働基準法
 
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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