40代夫婦共働きですが、毎月3万円しか貯金できません。このままで大丈夫でしょうか…… みんなもっと貯金していますか?
配信日: 2025.06.02

今回は、貯金額の平均値などを見ながら、貯金を増やすための方法を探っていきましょう。

CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
金融資産保有世帯の40代平均貯蓄額・貯金額の確認
40代夫婦の平均貯蓄額・貯金額について、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 二人以上の世帯 令和5年」(調査時期:2024 年6 月21日~ 7月3日、調査対象:全国20~70代の男女5000人)を見ると、平均貯蓄額が1293万円、中央値が 520万円となっています。
ここで注意したいのは「平均」と「中央値」は大きく差があるという点です。平均は一部の資産を多く持つ世帯が引き上げているため、実態に近いのは中央値です。
学校卒業後約20 年間で520万円と仮定すれば、「月3万円程度」というのは決して少なすぎるというわけではありません。「わが家だけ……」と思わず、まずは現状を客観的に捉えましょう。
なぜ貯金が難しいのか? ― 40代ならではの支出構造 ―
現状を確認したので、次は、「どうしてそうなったか」の原因を探っていきましょう。40代は、支出が多くなる時期でもあります。
主な出費項目をあげてみましょう。
・住宅ローン、家賃
・子どもの教育費(塾・習い事・学資保険)
・車の維持費
・親の介護の準備
加えて最近の物価高に伴う、食費・光熱費の上昇など、いずれも今後も右肩上がりが容易に想像できるような項目ばかりです。
こう見てくると、家計が「収入より支出の多様化」に悩まされるのがこの時期である理由は、いずれも「避けられない」ものがほとんどであるということです。言い換えると、即効性のある万能薬はないと考えられます。
貯金できない=お金の使い方が悪い、ではないということが確認できました。
月3万円の貯金を「安心できる未来」につなげる方法
特に、即効性のある改善策はない、ということであれば、「小さな項目・金額の積み重ね」でどこまで改善できるかを探ってみましょう。
1. 固定費を見直す
保険、通信費、サブスクなどは「貯金の敵」になりがちです。例えば、夫婦でスマホ格安SIMに変更を検討すると、 年間10万円ほど節約できる可能性もあります。
2. 先取り貯金を仕組み化する
給与振込後に「貯金専用口座へ自動振替」する仕組みを作ってはいかがでしょうか。生活費の残りではなく、「最初に貯金枠を作ってしまう」をいう習慣づけをしてみましょう。
よくダイエット目標を達成するために、お気に入りの洋服を少しきつめのサイズで買ってモチベーションをキープする、という方法が紹介されています。ダイエットも家計運営も習慣化することが成功のコツです。
3. 家計の見える化アプリを活用
最近はさまざまな家計簿アプリが、簡単にダウンロードして無料で利用できるようになっています。アプリで可視化してみると、意外なところでムダ使いをしていることが客観的に見えるようになります。これもダイエットの鉄則である、「毎日体重計に乗る」ということと同じです。
4. ライフプランを作って「目標貯蓄額」を逆算
例えば「老後までに2000万円」なら、20年×12ヶ月=240ヶ月となり、1ヶ月あたり約8万3000円の積み立てが目標だということが分かります。現状と大きな開きがあって、やる気もうせてしまいがちですが、「退職金」や「iDeCo・NISA」などを含めて調整可能です。
みんなと比べるより「わが家の正解」を見つける
つい「隣の芝生」が気になりますが、収入・家族構成・ライフスタイルは千差万別です。大事なのは、「自分たちにとって必要な貯金ができているか」を知ることです。
不安を感じたときは、ライフプランニングを見直すタイミングです。「月3万円しか」ではなく、「月3万円も貯金できている」ことを認識して、さらに貯金額の積み上げを検討しましょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者