入社後に「インフルエンザ」で長期欠勤! 友人に「傷病手当、申請しないの?」と言われましたが、半年も働いていないのに“手当”はもらえるのでしょうか? 支給額や申請のポイントを解説
配信日: 2025.05.30

有給休暇が一般的に半年後からの付与のため、各種制度は常に半年後から効力を発揮すると勘違いし、「傷病手当ももらえない」と思い込んでしまう人もいるようです。しかし、有給休暇と傷病手当は別の制度です。条件を満たせば、入社まもない時期でも傷病手当金を受け取れる可能性があります。
本記事では、有給休暇との違いに触れながら、全国健康保険協会(協会けんぽ)加入者を対象とした傷病手当金の受給条件や支給額、申請時のポイントについて解説します。

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傷病手当金とは? 有給休暇との違い
体調不良で仕事を休んだときに気になるのが、「収入がどうなるか」という点です。欠勤した分の給与が支払われない場合、その穴をどう埋めるのかが問題になります。このとき、「有給休暇」と「傷病手当金」がよく混同されがちなのですが、実はまったく異なる制度です。
まず、有給休暇は会社が給与を支払う制度です。入社から6ヶ月以上働き、一定の条件を満たすと、休んでも通常どおり給与が支払われます。
一方、傷病手当金は健康保険から支給される制度で、会社からの給料が出ない場合に、条件を満たせば保険からお金が支払われます。つまり、「働いていない=無給」だからこそ、保険制度で補うという位置づけです。
このように、「誰がお金を出すのか」「どんな条件で支給されるのか」が大きく異なります。
入社まもない場合でも傷病手当はもらえる?
傷病手当金は、次の条件を全て満たしていれば受給できます。
・健康保険に加入している
・病気やけがで仕事ができない状態にある(労災以外)
・連続する3日間を含め、4日以上会社を休んでいる(うち最初の3日間は待機期間)
・休んでいる間、会社から十分な給与が出ていない
傷病手当金には「被保険者期間が何ヶ月以上」という要件はありません。そのため、以上の条件を満たしていれば、入社して間もない場合でも支給対象になります。
支給額の目安とポイント
傷病手当金を受け取るためには、支給額の計算方法と申請時の注意点を押さえておくことが重要です。
支給額の目安
傷病手当金の1日あたりの支給額は、直近1年間の標準報酬月額の平均額÷30×3分の2が基準となります。加入期間が1年未満の場合は、資格取得後の平均額か協会けんぽ全体の平均額のうち低いほうが基準になります。
例)標準報酬月額の平均が17万円の場合
→17万円÷30≒5670円
→5670円×2/3≒3780円/日
といった計算式で支給額が決まります。
申請時のポイント
1. 必要書類をそろえる
申請には「健康保険傷病手当金支給申請書」が必要です。医師の意見欄や会社の証明欄もあるため、不備なく準備しましょう。
2. 会社としっかり連携する
申請書には会社の証明が必要です。手続きがスムーズに進むよう、早めに相談し、必要な情報を共有しましょう。
3. 公休日も支給対象になる
土日や祝日であっても、労務不能が継続している場合は支給対象となります。
4. 申請はあとからでも可能
労務不能となった日の翌日から2年以内であれば、申請することができます。
まとめ
傷病手当金は健康保険から支給される制度であり、労災以外の病気やけがで給与が出ない場合に利用できます。
入社からまもなくても、3日間の待機期間を含めて4日以上休むなど条件を満たせば受給可能です。まずは、自身が加入している健康保険に確認し、そのうえで勤務先にも相談してみましょう。思い込みで申請をあきらめず、制度を正しく活用することが大切です。
出典
厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
全国健康保険協会 傷病手当
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー