仕事中に「5000円」の商品を壊してしまった! 上司は「次から気を付けて」と言ってくれたけど、給与から天引きされる場合もあるの? 注意点を確認
配信日: 2025.05.26

しかし、仕事のミスを給料から天引きするのは、法律的に考えると問題がないのでしょうか。なにか問題があるとすれば、どこに相談すればいいのでしょうか。
本記事では、仕事のミスによる天引きや注意点などについて解説するので、気になる人は参考にしてください。

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仕事中のミスで給料から天引きするのは労働基準法違反
本記事の事例について結論から述べると、通常通り仕事をしている中でミスをしたことに対して給料から天引きすることは労働基準法違反です。そもそも、賠償責任を従業員が背負う必要はありません。使用者は、労働契約の不履行について違約金を決めたり、損害賠償額を予定する契約をしたりすることは禁止されています。
賠償責任を従業員に対して請求できないのですから、仕事中のミスに対して給料から天引きすることは認められません。仮に労働契約書に損害賠償に関する事項が盛り込まれていたとしても、法律違反に該当するので効力はありません。
また、労働基準法第24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められているため、天引きはいろいろな面から考えても法律違反です。
会社全体で給料からの天引きがおこなわれている場合、弁護士や労働基準監督署などの専門家へ相談するのがおすすめです。ただし、相談するときにはある程度の証拠をそろえてから行うか、相談してから証拠をそろえるなどの対応が求められます。
ミスの内容によっては損害賠償責任が発生する可能性もある
仕事中のミスは基本的には損害賠償責任が発生しませんが、ミスの内容によっては損害賠償責任が発生する可能性もある点は理解しておきましょう。
ポイントとなるのは、通常するべきことをしているか、わざと失敗していないかなどです。もしも、従業員の行動に非があると判断されれば、会社から従業員に対して損害賠償を求めることが可能です。
従業員の過失として判断されるケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
・会社からの業務範囲内での指示を無視して損害が発生した
・本来の方法以外で機械操作をして壊した
・仕事中の不適切な発言、行動によって会社にクレームが寄せられた
・機密情報や顧客情報を社外に漏らして会社が損害を受けた
つまり、客観的に見た場合に従業員のほうに問題があるかどうかで、通常通り仕事をしていると判断されてのミスでは損害賠償はされません。
負担するべき損害賠償額は?
従業員に非があるとして損害賠償を求められた場合に、従業員が負担するべき賠償額は総合的な事情を含めて判断されます。従業員本人の責任がどれくらいあるか、違法性がある行動をしているか、会社がミスを防ぐ教育訓練をしているか、ミスに備えた保険加入をしているかなどです。
金額は会社の判断で一方的に決まるわけではなく、請求額に納得がいかないなら専門家を介した話し合いが必要になるかもしれません。
なお、損害の程度によっては、損害賠償の請求以外に懲戒処分や制裁を受ける可能性もあります。
まとめ
仕事中に5000円の商品を壊したとしても、基本的には損害賠償をさせられることはなく、給料からの天引きは法律違反です。労働契約にその旨の内容が盛り込まれていたとしても、法律違反なので効力はありません。
ただし、「会社の業務指示に従っているか」「コンプライアンスを守っているか」といった内容が重要で、会社の意向に従わない行動は損害賠償の対象になる可能性があります。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
日本労働組合総連合会 労働相談Q&A 9.業務上のミスに対する損害賠償責任
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー