18週ぶりに「米の価格」が下がったと聞きました。実際どのくらい安くなったの!?
配信日: 2025.05.24


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18週ぶりに米の価格が下落! その実態とは?
2025年5月上旬、農林水産省が発表したデータによると、全国のスーパーで販売される米5キログラムの平均価格は税込み4214円となり、前の週より19円下がりました。これは18週ぶりの価格下落であり、長らく続いた価格上昇に一息ついた形です。
しかし、この価格は依然として高水準であり、2025年1月の平均価格約3600円と比較すると、およそ17%も上昇しました。
価格高騰の背景には、2023年の猛暑による収量減少や品質低下、肥料や燃料価格の上昇による生産コストの増加などが影響しています。また、外食産業の回復やインバウンド需要の増加も、需要を押し上げる要因となっています。
価格下落の背景にある政府の備蓄米放出政策とは?
政府は、価格高騰による家計負担を軽減するため、2025年3月から備蓄米の市場放出を開始しました。備蓄米とは、政府が食糧安全保障のために保有する米で、通常は災害時や需給逼迫(ひっぱく)時などに放出されます。
今回の放出は、主に価格高騰という経済的非常事態への対策として行われ、7月まで毎月実施される予定です。
しかし、放出された備蓄米のうち、実際に卸売業者に届いたのは約3割にとどまっているとされ、流通の遅れが指摘されています。JA全農が落札した備蓄米の約9割を保有しているものの、卸売業者への出荷が進んでおらず、消費者の手元に届くまでには時間がかかる状況です。
また、備蓄米の放出先がJAなどの集荷業者に集中したことで、価格低下を避けたい業者が売り控えを行い、市場での供給量が増えず、価格抑制効果が限定的となっていると見られています。
今後の米価格はどうなる?
今後の米価格については、専門家の間でも意見が分かれています。備蓄米の放出が進めば価格は徐々に下がると見る声がある一方、需給バランスが改善しない限り、高止まりが続くとの見方もあります。
仮に今年、作付面積が拡大し天候にも恵まれれば、秋には供給過剰となる可能性もあるようです。その場合、2024年産の米を高値で仕入れた業者は厳しい立場に置かれ、時間の経過とともに価値が下がる在庫の販売価格を見直さざるを得なくなるかもしれません。特に2026年春以降は、市場価格の下落や価格競争が起こる可能性も想定されます。
一方、政府は慎重な見通しを示しており、2025年6月の民間在庫は昨年に次ぐ低水準になる見通しとのことです。需要が予想を上回れば、さらなる品薄によって価格が上昇に転じる可能性もあります。市場の需給バランスに加え、政府による備蓄米の放出状況も、今後の価格動向に大きな影響を与えるでしょう。
まとめ
米の価格高騰は家計に影響を及ぼしており、消費者は外国産米の購入や特売日の活用など、安価な米を求めてさまざまな対策をとっています。政府による備蓄米の放出によって価格の安定が期待されますが、今後の動向については専門家でも予測が難しいのが現状です。
今後の価格の推移を注視しつつ、無駄づかいを減らして節約するなど、消費者としてできる対策を講じて、この状況を乗り切ることが求められます。
出典
農林水産省 スーパーでの販売数量・価格の推移(1ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー