職場では、自宅から駅まで「バス代1万円」が支給されます。最近“徒歩”でバス代を浮かせていますが、会社にバレたら返す必要がありますか？ 通勤手当の「支給ルール」とあわせて解説

社会人生活が始まると、会社によっては通勤手当が支給され、一般的には給料とともに振り込まれます。
 
しかし、自宅から駅までのバス代を浮かせるために歩いていた場合、通勤手当として受け取った金額には、実際に使っていない分を含んでいることになります。このような状況では、会社にその浮いた交通費を返還しないと違法になるのでしょうか？
 
本記事では、通勤手当の支給ルールの概要や、従業員と会社側の通勤手当に対する認識のズレについて整理し、徒歩通勤によって交通費を浮かせることが、法的に問題がないのか、分かりやすく解説します。

通勤手当の支給ルールとは？

通勤手当の支給方法は会社によって異なりますが、主に「定額支給型」と「実費支給型（実費精算型）」の2種類にわけて考えることができます。それぞれの概要は以下の通りです。
 

1. 定額支給型（フラット型）

会社があらかじめ決められた金額を支給します。この支給額は、実際にかかる交通費に関係なく全従業員一律で支給されるため、通勤手段や距離にかかわらず、一定の金額が支給されることが特徴です。
 

2. 実費支給型（実費精算型）

実際にかかる（またはかかった）交通費に応じて、支給される方法です。定期券の金額などを事前に申告して受け取る実費支給型と、実際に支払った交通費を申請して受け取る実費精算型の2つに分類できます。
 
自分が勤務する会社がどちらの制度を採用しているのかによって、通勤手当を返還する必要があるかどうかを把握することができます。
 

従業員と会社の認識のズレ

通勤手当の支給については、法律で明確に定められているわけではなく、会社の判断によって決まります。そのため、給料の一部というより、福利厚生の一環としての意味合いが強いといえるでしょう。
 
実費支給型の通勤手当においては、従業員と会社側の認識にズレが生じることがあります。
 
例えば、従業員は通勤手当を給料の一部と捉えて、すでに自分のものだと認識してしまうことがあります。そのため、交通費を使わないことが「節約」であるという意識につながり、浮いた交通費を手に入れるという考えになってしまうのです。
 
一方、会社側は通勤手当を、通勤にかかる実際の費用を支給するためのものであり、使用された交通費に基づいて支払われるべきだと考えます。
 
定額支給型や実費精算型の通勤手当では、このような認識のズレは生じません。
 
定額支給型であれば、支給額が一律であるため、実際にどのような通勤手段を利用したかにかかわらず、一定の金額が支給されます。また、実費精算型なら実際にかかった金額だけ支給されるため、徒歩で通勤した場合は当然バス代が支給されません。
 
会社によって通勤手当のルールや目的が異なるため、自分の勤務先の規定をきちんと理解し、誤解が生じないようにしましょう。
 

返さなかったら罰せられる？

支給した通勤手当が実際には使用されていなかった場合、会社の規定によって対応が変わります。
 
例えば、定額支給型の通勤手当の場合であれば、従業員が交通費を使わずに手当を受け取ったとしても違法ではなく、返還する必要はありません。
 
しかし、実費精算型の通勤手当では、虚偽の申告によって交通費を不正に受け取った場合、不正受給に該当します。不正受給が発覚すれば、懲戒処分や解雇といったリスクを伴います。また、返金する姿勢がないなど悪質だった場合は、詐欺罪や横領罪に問われる可能性もあります。
 
不正受給に該当する恐れがある場合は、早急に申し出て、会社に確認しましょう。
 

まとめ

駅までのバス代1万円を浮かせている場合、会社の規定によっては不正受給に該当し、解雇などのリスクを伴う可能性があります。そのため、まずは自身の会社の規定を把握し、返還の必要があるかどうかについて確認しましょう。リスクを負うのではなく、誠実に仕事に向き合って給料アップを目指したいですね。
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー