2025年の「米」はどうなる? 「価格が下がらない理由」と「今後の動き」

配信日: 2025.05.14

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2025年の「米」はどうなる?  「価格が下がらない理由」と「今後の動き」
2025年の日本の米市場は、価格高騰や供給不足といった課題に直面しています。昨年から続く状況は、消費者や生産者に大きな影響を与え、対応を迫られた政府は備蓄米の放出を決定するなど、新たな政策を打ち出しています。
 
本記事では2024年の動向を振り返りつつ、2025年の米市場が抱える課題と解決策についてまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

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2024年の米価格の高騰と供給不足の背景

米の価格は2024年(令和6年)の夏以降、上昇の動きが顕著となり、現在も収まる気配がみられません。
 
総務省統計局の「小売物価統計調査」によると、東京都区部におけるうるち米(コシヒカリ以外)5キログラムの価格は2024年6月には2483円でしたが、8月には2772円、12月には3868円、2025年3月には4557円まで上昇しました。
 
価格が上昇した背景には、猛暑の影響による収穫量の減少、需要の増加、投機的な動き、人件費や燃料費の高騰などがあるとされています。
 
農林水産省の「作物統計」によると、2024年(令和6年)の米の収穫量(主食用)は679万2000トンで実に6年ぶりの増加となりました。しかし、2021年(令和3年)まで維持してきた700万トンには達していません。
 
2024年の作況指数(米のでき具合を示す指数)は101と平年並みであったものの、猛暑によって高温が続いたことで米の品質が低下し、一等米の比率は8月31日の時点で63.7%でした(その後改善し、12月31日時点では75.9%)。
 
一方で、2023年に新型コロナ感染症が5類へ移行し、コロナ禍がようやく落ち着きを見せ始めたこともあり、外食産業では回復の動きが見られ、インバウンド需要が過去最多を記録し、米の需要が拡大しました。
 
訪日外国人の数は年間で3686万9900人、旅行で使った金額は8兆1395億円(コロナ禍前の2019年と比べて約70%増加)となり、需要が増加したといえるでしょう。
 
また、一部の仲介業者や加工業者による抱え込みなど、投機的な動きによって市場の流通が妨げられている可能性も指摘されています。
 
2024年の特徴的な出来事として、8月から9月にかけて南海トラフ地震臨時情報、地震、台風などがきっかけとなり、米を買いだめする動きが高まりました。その後は落ち着きを取り戻していますが、販売価格は元に戻ることはなく、高値が続いています。
 

米の価格高騰が家計や経済に与える影響

米の価格高騰は、食費に直接影響するでしょう。例えば、コンビニのおにぎりが値上げされたり、学校給食に深刻な影響を与えたりしています。
 
さまざまな地域の学校が給食で提供する米を確保することが難しくなり、予算の範囲内で給食のボリュームや栄養を保つために工夫を重ねているほか、給食費の値上げや、グラム調整などの対応策が検討されているようです。
 
消費者の間では、米の代わりにほかの主食を購入する動きもみられます。ドラッグストアやスーパーなどでは、餅やパスタ類、冷凍ピザ・グラタンなどの売り上げが増加したというデータもあります。
 

今後、米の価格はどうなる?

3月~4月にかけて政府による備蓄米の放出により、一時的に価格が落ち着く可能性があります。しかし、JAの出方次第では市場での供給量は増えず、価格が下がらない可能性もあります。
 
6月~7月頃には新米の生産見込みが出始めますが、需要が供給を上回れば再び米不足になる可能性があるでしょう。
 
専門家の意見の中には、2025年は作付面積が増加し生育が順調だった場合、秋に供給過剰になる可能性があるという見方もあります。もしそうなれば、来年の春頃には価格が落ち着くかもしれません。
 

米の価格が高騰した背景には、さまざまな要因が存在している。今後どうなるかはまだ不透明

米の需給予測は、天候や作付面積、需要動向などさまざまな要因に左右されます。2025年は、備蓄米の放出で価格は落ち着くのか、市場に出回る米の流通量が増えた場合は価格が下落するのかなどによって状況が変わるといえるでしょう。
 
価格の先行きは簡単に予測できるものではありませんが、消費者としては落ち着いた動きにつながることに期待したいところです。
 

出典

総務省統計局 小売物価統計調査 2主要品目の東京都区部小売価格【2024年3月~2025年3月】「1001 うるち米(単一原料米,「コシヒカリ」)」~「2183 学校給食(中学校)」
農林水産省 米穀販売事業者における販売数量及び販売価格の動向(速報)
農林水産省 令和6年産水陸稲の収穫量
農林水産省 令和6年産米の農産物検査結果(速報値)
日本政府観光局 訪日外客数(2024年12月および年間推計値)
国土交通省 観光庁 【インバウンド消費動向調査】2024年暦年の調査結果(速報)の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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