更新日: 2024.06.22 働き方

月の固定残業代が「3万円」ついています。金額としては高いですか?低いですか?

月の固定残業代が「3万円」ついています。金額としては高いですか?低いですか?
自分の勤務先で固定残業代が導入されているケースを経験したことのある方もいるのではないでしょうか。固定残業代について気になる点のひとつに、「自分の固定残業代の金額は高いのか、それとも低いのか」というものが挙げられます。
 
そこで、固定残業代が3万円あったとすると、それは高いのか低いのか、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

固定残業代は、「何時間分の残業代か」によって額が決まる

固定残業代を導入している会社は数あれど、その金額は一律ではありません。なぜなら固定残業代は、一定の残業時間分の残業代を、定額で支給する性質のものであるからです。
 
その際、基礎となる「一定の残業時間」は会社が自由に設定できます。そのため、10時間分の残業時間を基礎として固定残業代を設定している会社もあれば、時間外労働の月上限ギリギリの45時間に設定している会社もあります。
 
なお固定残業代は、その月の残業時間が基礎となる残業時間未満であっても、満額支給がなされます。その一方で、実際の残業時間が基礎となる残業時間を上回った場合は、超過分が追加支給されます。
 
例えば、固定残業代として20時間分の残業代2万5000円(1時間分1250円)が支給されている方が、22時間の残業をした場合で考えてみましょう。この場合、超過した2時間分の残業代2500円が追加支給されることになるのです。
 

3万円という金額は、高いのか、それとも低いのか

では、固定残業代として3万円が支給される場合、その金額は高いのか、低いのか、考えていきましょう。
 
この点について、一概に「高い」あるいは「低い」とは言い切れません。仮に「3万円」という金額だけに着目してみれば、決して少ない額とは言い切れないでしょう。人によっては食費や家賃といった大きな消費支出の大部分をまかなうことができる額である可能性もあるからです。
 
ここで、固定残業代の基礎となる時間に着目してみましょう。もし、固定残業代が10時間で3万円もらえるAさんと、20時間で3万円もらえるBさんとがいるのであれば、「Bさんの固定残業代3万円はAさんの額に比べて低い」といえるのかもしれません。
 
もし、自分の固定残業代の金額が高いのか、それとも低いのか、と悩んだときは、基礎となる残業時間と比較して「この残業時間分として設定されているなら、この金額は妥当だろう」と納得できなければ「低い」と考えてもよいでしょう。逆に「こんなにもらえるのか」と感じる場合は、「高い」と考えてもよいかもしれません。
 

固定残業代の注意点

固定残業代についての注意点はいくつかありますが、大きな注意点として、実質的に残業ありきの給与形態になっている、ということが挙げられます。実際の残業時間が基礎となった残業時間数より少ないのであればともかく、基礎となった残業時間数と同等まで残業した場合、固定残業代はただの残業代にしかなりません。
 
また、固定残業代はあくまでも「残業代」です。「基本給」を基準とする賞与の額を計算するときは、「手当」である固定残業代の額は除かれるのが一般的です。従って、固定残業代の比率が高いと、毎月の給与に対する賞与の支給額は低くなりがちです。
 

まとめ

固定残業代はその性質上、額だけで一概に「高い」「低い」とは言いづらいです。もし、固定残業代を3万円支給されている場合に、その額の大小が気になったときは、一度何時間分の残業代相当であるのか、確認してみましょう。
 
その時間に納得ができれば、少なくとも「固定残業代が低い」とはいえず、「この時間にしてはもらいすぎている」と感じたら、自分にとって3万円の固定残業代は「高い」のだと納得ができるでしょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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