更新日: 2024.06.16 働き方
有休が「20日」あるけど、会社に「15日分」の取得日を指定された!「お盆」や「年末年始」に有休を指定されても問題ないの? 計画年休について解説
しかし、使用者が有休取得日を決める日数が増えれば、労働者が自由に取得できる有休が減り、希望日に有休を取得できないケースもでてきます。
本記事では有休制度や有休の計画的付与、会社が指定できる有休の日数について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年次有給休暇制度について
年次有給休暇(有休)は入社後6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に10日付与されます。その後1年ごとに付与日数は増えていき、6年6ヶ月以上の継続勤務で年間20日の有休が付与されます。
有休はパートタイム労働者などの所定労働日数が少ない労働者(所定労働時間が週30時間未満かつ週4日以下)にも所定労働日数に応じて比例付与され、正社員でなくても利用することができます。
また、2019年4月より使用者は有休の付与日数が10日以上の労働者に対して、有休を付与した日から1年以内に5日の有休を取得させることも義務づけられました。
有休の計画的付与制度(計画年休)とは
有休取得率は増えていますが、現実的には忙しかったり、職場が取得しづらい雰囲気だったりするために取得を躊躇(ちゅうちょ)する人もまだまだ多いです。
そこで事業場全体で年間計画に有休も組み込んで計画的に有休を取得させる日を決め、年休を取りやすくしようとするのが計画的付与制度です。計画的付与制度には次のような複数の方式があります
・一斉付与方式(全労働者に対して同一日に付与)
・グループ別の交代制付与方式(グループ別に交代で付与)
・個人別付与方式(個人の都合に合わせて付与)
計画的付与制度は労使協定が必要
計画的付与制度の導入には次のことを順守する必要があります。
・少なくとも5日は労働者が自由に取得できる有休として残しておく
・制度対象者、付与する日数・方式、付与日の変更について労使協定でその内容を定める
つまり、年間で20日の有休が付与される労働者に対して、15日分の有休については労使協定であらかじめ取得させる日(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始、工場の休業日など)を決定することは違法ではありません。
その場合は労働者が自由に取得日を決定できる有休は年間で5日間だけとなります。
さらに、計画的付与制度により労使協定で指定した日を業務の都合などで使用者が一方的に変更することはできません。また労働者側が別の日に有休を取りたいと申請しても労使協定で指定された日に有休を取らないことも一般に認められません。
労使協定で指定された日を変更する場合は、労使協定の変更手続きの定めなどに基づき、適切な手続きが必要となります。
計画的付与制度を採用する企業割合や指定する有休日数は?
厚生労働省の調査によると、有休の計画的付与制度がある企業割合は43.9%となっており、計画的付与日数は5日~6日が72.4%と最も多くなっています。
また、計画的付与日数を9日以上としている企業の割合は11.5%、15日以上としている企業は3.8%となっており、実際に15日以上の有休を計画的付与している会社も少数ですが存在しています。
まとめ
有休取得率は年々増加しています。計画的付与制度は使用者にとっては労務管理しやすく、計画的な業務運営ができるメリットがあり、労働者にとってもためらいを感じずに有休を取得できるメリットがあります。
しかし、計画的付与制度は子どもの突発的な熱や行事のために有休を使いたい、または残しておきたい人や、旅行などに行きたい人にとっては自由に取得できる有休が減ってしまう制度でもあります。
企業側は有休取得率という数字だけでなく、そういった要望を持つ従業員の満足度を向上させるために、できるだけ個人の要望に沿った計画的付与が求められています。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況
厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説
厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 計画的付与制度(計画年休)の導入に必要な手続き
厚生労働省 年次有給休暇の計画的付与について【労働基準法第39条関係】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー