更新日: 2024.06.12 働き方
「忌引き休暇」は法律で定められていない!?「忌引き休暇」を取り入れている企業の割合は?
そこで今回は、忌引き休暇のルールや忌引き休暇の制度が導入されている企業の割合などについて調べてみました。いざというときのために、忌引き休暇についてのルールや就業規則を確認しておくことは大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
忌引き休暇は法律で定められているわけではない!
身内に不幸があったときに、会社から休みをもらうことを「忌引き休暇」といいます。しかし、忌引き休暇は会社の福利厚生のひとつであり、法律で定められているわけではない点に注意が必要です。
忌引き休暇については、厚生労働省労働基準局監督課の「モデル就業規則」に「慶弔休暇」の項目として近親者が亡くなったときの規定の例が挙げられています。
加えて、慶弔休暇は法律で定められたものではない旨が、以下のように記載されています。
「慶弔休暇及び病気休暇については労基法上必ず定めなければならないものではありません。各事業場で必要な期間を具体的に定めてください。」
また、慶弔休暇の項目に「配偶者、子又は父母が死亡したとき」「兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき」とありますが、取得休日日数は空白になっていて、会社が就業規則を作成する際に任意で設定することになっています。
忌引き休暇を制度として取り入れている企業の割合は?
忌引き休暇を制度として取り入れている企業はどれくらいあるのでしょうか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」によると、慶弔休暇制度のある企業の割合は90.7%であるとのことです。同調査から、ほとんどの企業が福利厚生の一環として慶弔休暇を採用していることが分かります。
忌引き休暇の日数は、親類関係の遠近に基づいて定められ、一般的な日数は以下の通りです。
●1親等(父母・子ども・配偶者の両親):5~7日
●2親等(祖父母・兄弟姉妹):2~3日
●3親等以上:1日
忌引き休暇は法定外休暇に該当するため、取得できる日数や有給か無給かは会社によって異なります。就業規則に記載があれば休みの間も給料は出ますが、無給と定めている場合もあるため注意が必要です。
無給と定められている場合は、忌引き休暇中は欠勤と同様で給料が発生しません。給料を下げることなく休みを取りたい場合は、代わりに有給休暇の取得を検討しましょう。
また、忌引き休暇の有無や詳細については、事前に就業規則を確認しておくようにしましょう。
忌引き休暇がなければ有給休暇を取得するのもあり
会社によっては、忌引き休暇の制度を設けていない場合もあります。その場合は、有給休暇を取得して、会社を休めるかもしれません。
有給休暇は正確には「年次有給休暇」のことで、厚生労働省によると「一定期間勤続した労働者に対して、心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される休暇」です。
年次有給休暇は法律で定められていて、入社から6ヶ月経過し、その間の全労働日の8割以上出勤すると、10日間の有給休暇が付与されます。
有給休暇は、労働者が請求する時季に与えなければならないと労働基準法で定められています。忌引き休暇の制度がなくても、有給休暇をあてられる会社もあるため、早めに上司に相談してみるとよいでしょう。
なお、忌引き休暇の制度がなく、有給休暇もない場合は、欠勤扱いとなってしまいますが、身内の不幸で休みを取得したい旨を上司に伝える選択肢もあります。
忌引き休暇は法律で定められていない! 必要に応じて有給休暇を取得できる
忌引き休暇は法律で定められているわけではありません。福利厚生のひとつとして制度を導入している企業は多いですが、制度そのものがない会社も存在します。
「忌引き休暇を申請したい」という場合は、まず勤めている会社に忌引き休暇の制度が設けられているかを確認しましょう。忌引き休暇の制度がある場合は、就業規則から有給か無給かや、申請手順など詳細を確認しておくと安心です。
忌引き休暇の制度がない場合は有給休暇を取得して休むか、有給休暇もない場合は上司に相談して休みを取得しましょう。
出典
厚生労働省労働基準局監督課 モデル就業規則 第5章 休暇等 第28条(慶弔休暇)(44ページ)
厚生労働省 労働基準情報:FAQ(よくある質問)-労働基準行政全般に関するQ&A 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構
独立行政法人労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.203 企業における福利厚生施策の実態に関する調査 ―企業/従業員アンケート調査結果―
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー