更新日: 2024.05.28 働き方
会社の機械を誤って壊した場合、毎月機械代を「天引き」されてしまいますか?
本記事では、会社の機械を誤って壊してしまった場合に給料から費用を天引きされる行為の問題性や損害賠償はどのようなケースで請求されるかなどについて紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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天引きは労働基準法で禁止されている
労働者が会社の機械を壊してしまった場合、損害賠償を請求される可能性があります。
しかし、会社側が一方的に損害賠償金額を毎月の給料から天引きする行為は、労働基準法第24条によって禁止されています。そのため、会社は給料を規定通り支払い、その上で別に損害賠償を請求する必要があります。
また労働契約を結ぶ際、契約書において「会社の備品を破損した場合は、費用の1割を労働者が負担する」など損害賠償の金額をあらかじめ決めることも労働基準法第16条にて禁止されています。
損害賠償の請求自体は違法ではない
労働者に過失がある場合や故意に会社に損害を与えた場合、会社側が労働者に対して損害賠償を請求することは違法ではありません。
しかし、会社は労働者が行う業務によって利益を出しています。そのため、業務上で考えられるリスクをすべて労働者のみに負担させることは、不公平であると捉えられる場合があります。
実際に会社側が労働者に対して損害賠償を請求して裁判となった場合では、労働者への責任追及が制限されるケースが多く見られます。
損害賠償の請求にあたるケース
会社側から労働者に損害賠償を請求する行為自体は違法ではないため、労働者が故意に機械を壊してしまったり禁止されている行為による過失によって会社に損害を与えたりした場合は、損害賠償を請求される可能性があります。
具体的にどのようなケースで請求をされる可能性があるのか見てみましょう。
・業務上の指示に反した取引を行い会社に損害を与えてしまった場合
・会社の機械を指示とは異なる操作を行って壊してしまった場合
・仕事中の不適切な言動により会社側にクレームが入ってしまった場合
・社内の顧客情報や秘匿情報など社外への持ち出しを禁じられている情報をSNSなどで公開して会社にクレームが入ってしまった場合
・社用車を運転して事故を起こし第三者の身体や物品などに損害を与えてしまい会社側が被害者に対して賠償金を支払った場合
労働者に大きな過失があるか、故意に行ったかなどの点が重要です。
損害賠償金は全額とは限らない
労働者側に過失が認められて損害賠償金を請求された場合、労働者本人の責任の大きさや違法性があったかどうか、会社側が事前に教育訓練や保険に加入するなどの損害防止措置をとっていたかなどの事情が考慮され、労働者の負担する損害賠償金額が決められます。
そのため、通常考えられるような起こり得る過失によって生じた損害については、労働者に全額請求となるケースは少ないと考えられます。
しかし、会社のお金を横領したり故意に会社へ損害を与えたりするなど一般的には起こり得ない重大な過失を犯した場合は、賠償金を全額請求される可能性もあります。
懲戒処分を受ける可能性もある
会社に損害を与えた場合、会社側から労働者へ損害賠償を請求するケースとは別に、懲戒処分を受けて減給が行われる場合もあります。賃金の減給については、就業規則において定める必要があり、労働基準法第91条によって上限が決められています。
減給については、「1回の金額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」と定められているため、この範囲を超えて減給が行われた場合は労働基準法に違反しているといえるでしょう。
天引きは違法だが損害賠償金は請求される可能性がある
故意ではなく誤って会社の機械を壊してしまった場合、全額損害賠償金を支払うのは現実的ではないでしょう。損害賠償は、労働者側に過失があったかや故意に行われた行為なのかといった個別的な事情によって金額が変動します。
また、必ずしも会社から言い渡された金額を支払わなければならないわけではありません。
さらに勝手に給料から天引きされている場合は、労働基準法に違反している可能性があります。
請求金額や請求方法に納得がいかない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談したり、裁判所の調停を利用した話し合いの場を設けたりして、納得のいく解決方法を探しましょう。
出典
東京都 TOKYOはたらくネット 労働問題に関するQ&A どうなる?こんなトラブル! パート・アルバイト、派遣社員、契約社員で働く方のためのQ&A 詳細版 4.職務期間中の問題・ルール 4-3.会社の物を壊したら弁償しなければいけないの
e-Govポータル 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 第二章 第十六条(賠償予定の禁止)、第三章 賃金 第二十四条(賃金の支払)、第九章 就業規則 第九十一条(制裁規定の制限)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー