更新日: 2024.05.23 働き方

体調不良で早退したのに、職場から「仕事の電話」がかかってきました。気付かず寝ていたら翌日「無視するなんて」と叱られましたが、仕方ないですよね…?

体調不良で早退したのに、職場から「仕事の電話」がかかってきました。気付かず寝ていたら翌日「無視するなんて」と叱られましたが、仕方ないですよね…?
仕事中に突然体調が悪くなり早退。しかし、寝込んでいるにもかかわらず「職場から電話がかかってくる」こともあるでしょう。なかには、電話に出ないまま翌朝出勤したら「上司や同僚から叱責された」というような、理不尽とも思える経験をした人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、休暇中の職場からの連絡の対応義務の有無や職場内のルール設計について解説します。

休暇中に仕事の電話に出る義務はない

休暇中に仕事の電話がかかってきても、休暇中は業務時間外であるため原則電話に応じる義務はありません。もし後日出勤した際に「電話くらい折り返せ」「せめてメールくらいはするように」と叱責された場合は、ハラスメントに該当する可能性があります。業務時間外に連絡を強要しているとみなされれば労働基準法違反と捉えられ、会社に処分が下されてもおかしくありません。
 

緊急性が高い場合は相談しながら

休暇中は仕事の電話に出る義務はありませんが、部署や業務内容によっては「そうもいっていられない」ケースもあるでしょう。特に、急なトラブルやインフラ・人命に関することなど緊急性の高い連絡は「自分でなければ対応できない」といった場合があります。
 
とはいえ、体調不良で寝込んでいるときのようなコンディション不良時は、急な連絡に対応できない場合もあります。その場合はメールで用件を聞いたり、概要を伝えて同僚や上司に対応してもらったりといった臨機応変な対応が必要です。
 

従業員が休暇中に仕事にとらわれないためのルール作り

従業員が業務時間外に仕事にとらわれず休暇を過ごすためには、職場内でのルール設計が重要です。例えば、次のようなルールを定めてみましょう。

・休暇前に業務の状況や進捗(しんちょく)を共有する
 
・社用携帯電話の取り扱いを決める
 
・休暇中の事務連絡を時間外勤務とみなす

休暇に入る前に業務の状況や進捗をほかの従業員に共有するだけでも、業務時間外に急な連絡がくる可能性が低くなります。「こういった連絡が取引先から来る可能性がある」「現在ここまで進めているため、次のステップまであと数日かかる」といったように、担当する業務について引き継ぎや説明をしておくとよいでしょう。
 
また、社用携帯電話の取り扱いについて職場全体で話し合ってみるのもおすすめです。例えば「退勤時に電源を切る」「業務時間のみ使うようにする」など、社用携帯電話をどのように使うのか、どう保管するのかを決めておけば、業務時間外の不要な連絡も減るでしょう。
 
やむを得ず休暇中に仕事の連絡を受けた場合には、対応した時間を「休日労働したもの」とみなし、相応の賃金を請求できるよう会社側に相談するのも1つの手段です。
 
労働基準法では、使用者は労働者との協定があれば休日に勤務をさせてもよいと定められています。一方、使用者は休日の勤務に対して相応の賃金を支給するよう定められています。
 

従業員の休暇時は職場内で連携して「体制」の構築を

かつては「多少の熱くらいで休むな」と言われることも多くありましたが、現代では「体調不良はしっかり休んで完治してから業務に従事する」風潮に変わってきています。
 
とはいえ、急な体調不良時に職場からの連絡が来るケースはまだまだ絶えません。休暇の定義や扱い、職場内の体制構築などを今一度見直し、従業員が安心して休める職場環境をつくるのが重要といえるでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
 
執筆者:石上ユウキ
FP2級、AFP

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