更新日: 2024.05.17 働き方
電車の遅延で会社に遅刻し、給与をカットされました。「遅延も見越して出社しろ」と言われましたが、あまりに理不尽ではないですか?
そこで本記事では、電車の遅延による給与カットは不当なものではないのか、給与カットされないためにはどのような対策を行えばよいかなど紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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電車遅延による遅刻の給与カットは法律的に問題ない
結論からお伝えしますと、電車遅延により会社に遅刻した場合に給与をカットされるのは、法律的に問題ありません。ただし、実際に遅刻分を給料から引くかどうかは、会社のルールによって異なるのが現状です。
ノーワーク・ノーペイの原則とは
企業と労働者の関係性では、「ノーワーク・ノーペイの原則」という言葉が使われています。ノーワーク・ノーペイの原則とは、賃金は働いたら支払う、働かなかったら支払わないという意味です。
なお、この根拠は民法第六百二十四条であり、その内容は以下の通りです。
「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」
つまり、賃金は原則、労働に対する対価として支払われるものであり、労働がなければ支払う必要がないともとれるでしょう。電車の遅延による遅刻は、労働者側に問題はありませんが、会社にも原因はありません。
そのため、ノーワーク・ノーペイの原則が適用され、電車の遅延による遅刻に対して、企業がその分の給与をカットするのは問題ないという流れになります。
ノーワーク・ノーペイの適用範囲
原則、ノーワーク・ノーペイの適用範囲は、休日にもおよびます。遅刻や早退、欠勤だけではなく、産前産後休業や育児休業、介護休業なども該当します。法定休暇制度として定められているのは、あくまで休暇の取得のみで、通常賃金は支払われません。
しかし、ノーワーク・ノーペイのルールには例外があります。企業側に原因がある場合、例えば経営不振による工場の停止や休業などが発生した際は、企業は労働者に対して賃金を支払う義務が発生します。
この義務は、労働基準法第二十六条によって「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」と定められています。
従業員の遅刻の対処は就業規則から判断する
電車遅延による遅刻に対してどのような処分を行うかは、実際のところ会社のルールに委ねられているのが現状です。就業規則によってどのようなルールが定められているかによって、給与カットが問題ないかどうか決まります。
就業規則とは
そもそも就業規則とは、企業が独自に定めたルールを指しています。
主に労働者の賃金や労働時間などの労働条件、職場内の規律について明確化するために作成されています。
就業規則に公共交通機関の遅れについて記載があるかチェックする
会社のルールを定めた就業規則に、遅刻や早退、欠勤について書かれている項目がないかチェックしましょう。企業によっては、電車遅延による遅刻は、遅延証明書があれば遅刻としないといったルールを設けているケースがあります。
しかし、就業規則にルールが記載されていなければノーワーク・ノーペイの原則により、減給が行われる可能性があるでしょう。就業規則には、労働者を守るためのルールが記載されています。そのため必ず内容を把握しておき、ルールにのっとった対応をしてもらえるように気をつけましょう。
電車遅延による給与カットは就業規則を確認しよう
電車の遅延による遅刻で給与カットされるのを防ぐためには、まず自分が働いている企業の就業規則をチェックしましょう。この場合に関する記載があり、そのように対応したのにも関わらず給与カットをされたのであれば不当といえるでしょう。
不利な働き方を防ぐためにも、就業規則は必ずチェックして、ルールを把握しておくことが大切です。
※2024/05/22 タイトルを一部修正いたしました。
出典
e-Gov 法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法 第六百二十四条
e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 第二十六条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー