更新日: 2024.05.02 働き方
30年ぶりの賃上げなど2024年の春闘が話題に。でも、氷河期世代で貯蓄ゼロの「非正規労働者」には関係ないですよね?
一般的に賃上げは正社員への影響が注目されがちですが、非正規労働者にも影響が及ぶと考えられます。そこで本記事では、2024年の賃上げが非正規労働者に与える影響を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2024年の賃上げ状況
日本労働組合総連合会(連合)が4月18日に発表した、「2024春季生活闘争 第 3 回 回答集計結果」によると、有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は時給で66.67円、月給で1万3870円の増加でした。引上げ率は概算でそれぞれ6.10%、6.18%となっています(加重平均)。
なお、中小企業の賃上げ率は大手企業ほどではないものの、4.69%となっています。比較可能な2013年以降では最も高い水準となっており、企業の規模と雇用形態を問わず賃上げは行われていることが分かります。
非正規雇用労働者に対しても賃上げが行われている大きな理由は、インフレと人手不足への対策です。2024年3月分の物価上昇率は前年同期比+2.7%となっており、消費者の生活に大きな負担となっています。物価上昇率以上に賃金を上げないと、生活はどんどん苦しくなってしまうため、従業員の生活を守るために企業は賃上げを行っていると考えられるでしょう。
また、昨今は人手不足の状況が続いており、人手を確保するためには好待遇を用意しなければなりません。非正規雇用労働者も貴重な労働力ですから、事業活動を維持するために賃上げを行い、人材を確保していると考えられます。
非正規雇用労働者が起こすべき行動
非正規労働者に対する賃上げをはじめ、処遇改善は徐々に進んでいます。しかし、正社員との賃金格差は依然として大きいのが現状であり、非正規雇用労働者自身もよりよい待遇で働くための努力が欠かせません。
厚生労働省の令和4年度「能力開発基本調査」によると、正社員以外に対する過去3年間のOFF-JT(一時的に職場から離れて行う研修やセミナーなどの教育訓練)に支出した費用の実績では、「実績なし」という回答が72.5%で最多でした。今後3年間の支出見込みでは、「実施しない予定」が63.4%で最多でした。
また、正社員以外に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績では、「実績なし」が82.4%と最多で、今後3年間の支出見込みについても「実施しない予定」が71.7%で最多という結果になっています。
このように、非正規雇用労働者は正社員と比べて、福利厚生とスキルアップの機会が不十分である傾向にあります。また、雇用が不安定である以上、優れたスキルを有していないと他の人材に取って代わられるリスクが高いでしょう。
非正規雇用労働者が安定した生活を実現するために、スキルアップに励むことは重要です。必要とされるスキルを習得し、アウトプットできれば人材価値が高く評価されるでしょう。
厚生労働省の「一般教育訓練制度」を活用すれば、受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する訓練である「特定一般教育訓練制度」の支給額は、受講費用の40%(上限20万円)です。
より専門的な知識や技能を習得できる「専門実践教育訓練制度」を活用すれば、受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6ヶ月ごとに支給されます。経済的な援助を受けながらスキルアップできる制度となっているため、有効活用しましょう。
なお、上記教育訓練制度の給付対象となるのは、厚生労働大臣の指定を受けている講座に限られます。厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で検索できるため、今後身に着けたいスキルや技能がある場合は、該当する講座がないか確認してみてください。
まとめ
2024年の春闘では、多くの企業で正社員だけでなく非正規労働者に対しても賃上げが行われています。非正規雇用労働者は貴重な労働力である以上、果たしている役割は大きいはずです。すべての企業で賃上げが行われているとはかぎりませんが、「非正規の自分には関係ない」という認識は誤りです。
ただし、非正規雇用労働者は正社員よりも失業リスクが高く、福利厚生が薄くなりやすい特徴があります。そのため、常に求められる人材になれるように、スキルアップを行う意識を持つことが重要といえるでしょう。
出典
日本労働組合総連合会 2024 春季生活闘争 第3回 回答集計結果
総務省統計局 2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)3月分及び2023年度(令和5年度)平均
厚生労働省 令和4年度 能力開発基本調査
厚生労働省 教育訓練給付制度
厚生労働省 教育訓練制度 検索システム
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー