更新日: 2024.04.29 家計の見直し
2024年度からの負担増で、中小企業で働いている人は生活が厳しくなる? どんな負担が増えるの?
そのため、負担増で生活がますます苦しくなります。負担増はさまざまありますが、この記事では、あまり知られていない森林環境税や再エネ賦課金、子ども・子育て支援金制度について具体的な負担額を解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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森林環境税 1人年額1000円
ほとんどの国民が知らないうちに、2019年に創設された森林環境税が2024年度から個人住民税均等割の枠組みを用いて、国内の森林整備などを目的として、1人年額1000円を市町村が賦課徴収します。納税者を約6200万人とすると、税収は1年で620億円になります。
その税収は全額が「森林環境譲与税」として全国すべての自治体に配分され、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進などの費用など森林整備やその促進のための取組に活用されます。
なお、納税開始まで2019年度から、森林環境税に先行する形で国庫から交付金として配分が始まっています。各自治体への配分は、「私有林や人工林の面積」に応じた配分が50%、人口に応じた配分(森林がないところにも配分)が30%、林業従事者数に応じた配分が20%となっています。
林野庁・総務省「令和4年度における森林環境譲与税の取組状況について」によると、2019年~2022年の譲与額は1500億円で、活用額は975億円となっています。十分活用されていないことがわかります。
再エネ賦課金 年間約1万円の電気料金の値上げ
太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束しており、電力会社が買い取る費用の一部を国民から賦課金という形で集め、最終的には再生可能エネルギーで電気をつくっている事業者などの収益になります。再エネ賦課金は、毎月の電気料金とあわせて徴収されています。
再生可能エネルギーの賦課金の単価が2024年度は、1kw/hあたり3.49円になります。月に400kw/hを使用する標準家庭でみると、月額1396円となり、大幅に減額となった2023年度に比べて836円も増加します。年間に換算すると、約1万円の電気料金の値上げです。今後も賦課金は上昇する見通しです。
(参考)
再生可能エネルギー発電促進賦課金単価の推移
・2023年5月分から2024年4月分まで:1.40円 / kWh
・2022年5月分から2023年4月分まで:3.45円 / kWh
・2021年5月分から2022年4月分まで:3.36円 / kWh
・2020年5月分から2021年4月分まで:2.98円 / kWh
(中略)
・2015年5月分から2016年4月分まで:1.58円 / kWh
子ども・子育て支援金制度の創設 加入者1人あたりの支援金額は?
2026年度から少子化対策の安定財源として「子ども・子育て支援金制度」が創設されます。「支援金」は医療保険制度を活用して保険料と合わせて徴収されます。支援金の額は被用者保険(協会けんぽ、組合健保、共済組合)や国民健康保険、後期高齢者医療制度ごとに異なり、さらに負担能力に応じても変動します。
こども家庭庁の資料によると、全制度平均で、加入者1人あたりの支援金額は、2026年度は月額250円、2027年度は月額350円、2028年度には月額450円の負担になる試算です。
保険者別に見ると、被用者保険について、2026年度は月額300円、2027年度は月額400円、2028年度には月額500円の負担になる試算です。被用者保険のうち最も高いのは共済組合で、2026年度は月額350円、2027年度は月額450円、2028年度には月額600円の負担になる試算となっています。
国民健康保険では、2026年度は月額250円、2027年度は月額300円、2028年度には月額400円の負担になる試算です。後期高齢者医療制度では、2026年度は月額200円、2027年度は月額250円、2028年度には月額350円の負担になる試算です。
この支援金は児童手当の拡充、妊婦のための支援給付、こども誰でも通園制度などに充てられます。
まとめ
森林環境譲与税は従来十分活用されていない実態があります。
再エネは本当に環境にやさしいのか、子ども・子育て支援金は本当に少子化に役立つのか、効果が疑問視されています。国民一人ひとりが税金などの使い道に関心を持ちたいですね。
出典
林野庁 森林環境税及び森林環境譲与税
総務省・林野庁 令和4年度における森林環境譲与税の取組状況について
東京電力エナジーパートナー 賦課金等について 再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
こども家庭庁 支援金制度等準備室 子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。