更新日: 2024.10.07 ライフプラン
週5日のパートから週3日に変更 この時の有給休暇の付与日数は変化するのか
では、実際に勤務が開始したあとに勤務日数が変化した場合、有給休暇の付与日数はどうなるのでしょうか。
今回は、パートやアルバイトなどにおける勤務日数と有給休暇の付与日数の関係についてみていきましょう。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
Aさんの有給付与の日数はどうなる?
Aさんは1月1日から週5日8時間勤務という契約で、アルバイトとして勤務を開始しました。
しかし、6月に入ってからは、諸事情によりAさんの勤務日数は週3日に変更となりました。
週5日の8時間勤務であれば法律上、有給休暇は10日間付与されます。
しかし、1日あたりの勤務時間をそのままに、勤務日数のみを週3日と変更する場合は有給休暇の付与日数は5日間にまで減ってしまいます。
とはいえ、Aさんは当初週5日の契約であり、6月に入ってから勤務日数が週3日に変化しています。
途中から勤務日数が週3日に減ってしまった場合、それにともない有給休暇の付与日数も5日にまで減少してしまうのでしょうか。それとも、当初予定されていたとおりの10日の有給休暇が付与されるのでしょうか。
有給休暇の付与要件は?
まず、有給休暇の付与要件から確認していきましょう。
有給休暇は雇い入れの日から起算して6ヶ月間継続して勤務し、その間の労働日に8割以上出勤した労働者に10日間付与しなければならないとされています。(労働基準法39条1項)
しかし、1週間の所定労働日数が少ない場合には、その労働日数に応じて前述の10日よりも少ない日数の有給休暇を付与するとされています。(労働基準法39条3項1号)
その日数は週の所定労働日数を基準に考えると、半年後に付与される有給休暇の日数は次のように変化していきます。(労働基準法施行規則24条の3第3項)
さて、これらの要件から、再度Aさんに付与される有給休暇の日数を考えてみましょう。
有給の付与日数は基準日によって決まります
Aさんに付与される有給休暇の日数は「5日」となります。
なぜなら、有給休暇の付与日数は有給休暇の付与される時点(以下基準日とします)での勤務日数によって決定されるからです。
今回、Aさんの当初の勤務日数が週5日であったものの、その後の契約変更により基準日における契約は週3日出勤となっていました。
そのため、Aさんに付与される有給休暇の日数は5日となるのです。
たとえ雇い入れられた当時に比べ勤務日数が変化した場合においても、基準日の状況によって判断されることに変わりはありません。(昭和63年3月14日基発第150号)
このような理由により、当初は週5日間勤務していたとしても、基準日前に週3日へと勤務日数を変更されたAさんの有給休暇の付与日数は5日となるのです。
有給休暇の付与は基準日に注意
有給休暇の付与日数は基準日における状況によって変化するものであり、当初の勤務日数によって決定されるわけではありません。
そのため、当初は10日間の有給休暇が付与される予定であったにもかかわらず、基準日前の契約変更により、有給休暇の付与日数が大幅に少なくなってしまうということもありえます。
勤務日数の変更を考えているのであれば、有給休暇の付与日数についても考慮しておくとよいかもしれません。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士