更新日: 2019.06.14 その他保険

パートやアルバイトで社会保険に加入しなければならないのはどんな人?

執筆者 : 新美昌也

パートやアルバイトで社会保険に加入しなければならないのはどんな人?
会社で働くとき、パートやアルバイトも、一定の条件を満たすと、健康保険、厚生年金保険(社会保険)や労災保険、雇用保険(労働保険)に自分の意思とは関係なく、加入しなければなりません。
 
働き方にも影響します。社会保険の加入条件について知っておきましょう。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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社会保険の加入条件

厚生年金保険と健康保険の加入条件は同じです。パートタイマー・アルバイト等が社会保険に加入しなければならないのかの判断は、同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員(常用雇用者)の所定労働時間および所定労働日数を基準に判断することとなります。加入条件は事業所の規模や働き方によって異なります。
 
【従業員数500人以下の事業所】
従業員数500人以下の事業所の場合、(1)1週の所定労働時間が一般社員(常用雇用者)の4分の3以上、及び(2)1月の所定労働日数が一般社員(常用雇用者)の4分の3以上であれば、社会保険に加入しなければなりません。
 
例えば、一般社員の1週の所定労働時間が40時間で、1月の所定労働日数が20日である場合
(1)1週の所定労働時間30時間(40時間×3/4)以上、及び(2)1月の所定労働日数15日(20日×3/4)以上の従業員は、パート、アルバイトの名称に関わらず、社会保険に加入しなければなりません。
 
【従業員数501人以上(労使の合意を得た従業員500人以下の事業所を含む)の事業所】
従業員501人以上の事業所(特定適用事業所)の一般社員(常用雇用者)の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、下記の4条件を全て満たす方は、社会保険に加入しなければなりません。
 
1.週の所定労働時間が20時間以上あること
2.雇用期間が1年以上見込まれること
3.賃金の月額が8.8万円以上であること
4.学生でないこと
 

社会保険に加入するメリット

社会保険に加入しないパートやアルバイトは、国民年金や国民健康保険に加入することになります。
 
国民年金や国民健康保険に比べ、社会保険は保障が手厚くなっています。これが加入するメリットです。
 
社会保険の保険料は事業主が半分負担してくれます。厚生年金は国民年金の基礎年金に上乗せされた比例報酬部分の年金(厚生年金)をもらうことができますので、国民年金だけに比べて将来の年金が増えます。
 
障害で働けない場合、障害等級1級又は2級に該当する方は、国民年金から障害基礎年金が支給されます。障害等級1から3級に該当する方は、厚生年金から障害厚生年金が支給されます。障害等級3級より軽い障害が残った場合には障害手当金が支給されます。
 
被保険者が死亡した時、国民年金から死亡当時生計を維持されていた子のある配偶者又は子に遺族基礎年金が支給されますが、厚生年金からは、死亡当時に生計を維持されていた配偶者・子、父母、孫、祖父母に遺族厚生年金が支給されます。
 
健康保険からは、ケガや出産で働けなくなったとき、賃金の3分の2程度の傷病手当金や出産手当金が支給されます。国民健康保険には、働けなくなったときに賃金を補てんする傷病手当金等はありません。
 

社会保険に加入する場合の留意点

社会保険には、一定の条件を満たすと、自分の意思にかかわらす社会保険に加入しなければなりません。しかし、パートやアルバイトの場合は、働き方を調整することによって社会保険に加入しないことも可能です。
 
パートで働いている妻が夫の社会保険の被扶養者として国民年金の第3号被保険者になっている場合、年収が130万円未満でも、上記でみた社会保険の加入条件(年収106万円以上など)に該当すれば、自ら社会保険に加入することになり、新たに保険料の負担が生じます。
 
パートやアルバイトで働く方は、どのような条件で働くかを慎重に検討する必要があります。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
 

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