更新日: 2024.04.20 働き方

給与を2万円アップした途端「定時退社」する社員が増えた…「固定残業制」を導入した方がいいでしょうか?

給与を2万円アップした途端「定時退社」する社員が増えた…「固定残業制」を導入した方がいいでしょうか?
賃金アップをしたことで、今回の事例のように社員たちの中には「基本給が上がったから残業せずに早めに帰ろうかな」と考える人が出てくるかもしれません。
 
一般的に残業は少ないに越したことはないですが、業務内容によっては「その日のうちに業務を終わらせてほしい」という場合もあるでしょう。そのようなときに、社員が業務を終えずに定時退社すると困ってしまうケースもあるかもしれません。
 
では、「固定残業制」を導入すれば残業を推進できるのでしょうか?
 
本記事では、固定残業制の概要や定時退社との関連性について、基本ポイントを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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固定残業制の概要

固定残業制とは、一定額を残業代として社員に固定支給する制度です。
 
予想される残業時間を推定し、それに対応する残業代(固定残業代)を決定します。
 
実際の残業時間がまったくなかったり、推定時間を下回ったりしても、決定していた残業代は原則として保証されます。
 
逆に実際の残業時間が想定時間を上回っていた場合は、差額分を上乗せして支払わなければなりません。厚生労働省によると、差額分が支払わない場合は労働基準法違反(賃金不払い)となります。
 

注意! 固定残業制は「強制」残業制度ではない

固定残業制は「固定」という言葉が使われているとはいえ、決まった時間残業することを社員に強要するものとはいえません。
 
例えば「20時間の残業時間」があらかじめ見込まれている場合であっても、社員が必ず20時間働く義務があるわけではありません。
 
以下のような正当な理由がある場合、社員は残業を断れるものと考えられます。

●36協定(残業時間上限を原則月45時間・年360時間に定めた協定)に違反している場合
●健康に悪影響が及ぶ場合
●育児や介護などの必要に悪影響が及ぶ場合
●業務上不要な残業を命じられた場合(社員が自分の果たすべき割当分を終えている場合)

 

固定残業制だと残業する社員は増えない?

固定残業制を導入したとしても、残業の強制力はないため、残業する社員の増加に直結するわけではありません。
 
しかし、固定残業制を導入することで、以下のような影響が出ることは考えられます。

●会社が社員に対して、固定残業代程度の業務量を期待していることが示される
●残業代として報酬を受けていることで、社員が残業を比較的受け入れやすくなる

 

固定残業制導入で定時退社を減らせるかはケース・バイ・ケース

固定残業制を導入して残業する社員が増えるかどうかは、状況によると考えられます。
 
固定残業制において、一定時間の残業を見込んだ契約を労使間で交わした場合、正当な理由があれば社員に残業をお願いできるでしょう。
 
また、会社が一定の残業を期待していることが示されるほか、固定残業代を受け取る社員は残業のお願いを受け入れやすく感じる可能性があります。
 
一方、正当な理由がなければ、残業を強要することはできません。
 
固定残業制では、実際の残業時間にかかわらず一定額の残業代支払いを保証するため、人件費や労働環境を総合的に考えつつ導入を検討するとよいかもしれません。
 

出典

厚生労働省 愛知労働局 働き方改革応援レシピ~賃金制度制度編~ 固定残業代で労働生産性の向上!(6ページ)
厚生労働省 大阪労働局労働基準部監督課 ワンポイント!労基法シリーズ その(6) しっかりと支払われてますか? あなたの残業代
厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針(1ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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