更新日: 2024.04.12 働き方
定時は18時なのに、いつも「19時」まで残業。上司から「1時間くらいなら申告しないで」と言われましたが、これって違法ですよね?
本記事では、このような上司からの指示が法に抵触する可能性があることを説明し、どのように対処すべきかについて解説します。
1時間の残業でも未払いなら違法
労働基準法では、休憩時間を除いて1日8時間・週40時間を超えて働いた場合は、超えた部分に対して25%の割増賃金を支払わなければならないと規定しています。9時から18時までが定時で、1時間の休憩がある場合、18時以降の残業は割増賃金の対象です。
つまり、18時以降に1分でも働いた場合は、会社は残業代を支払わなければならないのです。しかし、上司に意見しにくかったり、意見を口にしづらい風土が常態化していたりすると、ブラック企業なのでは? と不信感を持つこともあるでしょう。
ブラック企業にあたる可能性がある
厚生労働省はブラック企業を明確に定義していませんが、一般的には以下のような特徴があると指摘しています。
・ 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
・ 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
・ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
本事案のケースは、2つ目の「賃金不払残業が横行する」という意味合いで、ブラック企業の特徴に当てはまるといえるでしょう。
働き方改革による影響もある
2019年から順次施行された働き方改革関連法により、残業時間の管理を徹底する会社が増えたことが、サービス残業の増加につながっているケースもあるようです。
株式会社エクスクリエが運営するメディア「robamimi」が2022年12月に実施した働き方に関するアンケートによると、働き方改革が「申請できないサービス残業の増加」につながったかどうかについて、「そう思う」「ややそう思う」と回答した人が全体の45.2%に達しました。
会社が働き方改革を進めるため、残業時間を制限したり、タイムカードによる管理を徹底したりすることで、残業の申請がしづらくなっているケースがあると考えられます。
業務量は変わらず人員は増えないことから、サービス残業をせざるを得ない状況に陥っているのかもしれません。
どう対処すべきか?
これまで未払いであった1時間の残業代は、しっかり請求する権利があります。そして今後は、労働時間を超える残業について、申請できる環境を会社に求めていく必要があります。
直接の上司だけでなく、人事や総務部門に対し、賃金の未払いや環境の改善を求めることが大切です。
しかし、会社自体がブラック企業のような体質がある場合や、若手社員が進言しづらいなどの事情がある場合は、労働組合や労働基準監督署に相談するのも選択肢の1つです。
まとめ
1時間の残業でも、所定労働時間を超えれば、会社は残業の申請を拒否できず割増賃金を支払わなければなりません。サービス残業が常態化している場合は、会社や外部機関に相談するなどして働きかけ、違法な慣習や風土を改善することが大切です。
労働者としての権利をしっかり理解し、働きやすい環境で仕事ができるよう、自分を第一に考えて行動しましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 労働条件に関する総合情報サイト 「ブラック企業」ってどんな会社なの?
執筆者:渡邉志帆
FP2級