更新日: 2024.04.06 働き方
「仕事を頑張ると仕事が増える」と言って定時で帰る息子。最低限の仕事はしているようですが、勤務態度で減給にならないか心配です…。
この記事では、残業について、36協定や業務命令としての残業に触れつつ、減給処分の条件について考えます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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36協定とは?
労働時間の規制を巡る議論は、労働者の生活の質を守るうえで中心的なテーマです。そこで重要な役割を果たすのが、労働基準法第36条に基づく合意、通称「36協定」です。この協定は、労働者が法定労働時間を超えて働くことになる場合に、事前に労使間で合意を形成し、その条件を明確にすることを定めています。
具体的には、一般的に1日8時間、週40時間と定められた労働時間を超える場合、または休日に仕事をする場合に適用されます。例えば、ある会社で、繁忙期には月に60時間までの残業が可能とする36協定を結んだとします。これにより、従業員は繁忙期であっても月60時間を超える過度な残業を強いられることがなくなります。
残業を命じられた場合に拒否するとどうなる?
定時帰宅はワークライフバランスを実現するための具体的な方法の一つです。しかし、業務命令として残業が指示された場合に定時で帰宅すると処分の対象になることがあります。
もし、労使間で締結される36協定に基づき、適切に命じられた残業を断ると、業務命令違反になる可能性があるのです。一方で、労働者には、特定の状況下で残業を辞退する権利も認められています。例えば、健康上の問題がある場合や家族の介護が必要な場合の残業拒否は、容認されるでしょう。
一方、個人的な予定や趣味のために残業を断った場合、減給処分を受ける可能性があります。ただし、具体的な事情によって対応は異なります。例えば、ある従業員が家族との時間を理由に残業を断ったとしましょう。
この場合、企業が減給を決定する前に、その従業員の勤務態度全般や、残業拒否の頻度、業務の緊急性などを総合的に評価するプロセスが設けられるのが一般的です。
減給の5つの条件
給与の減額は通常、厳しく規制されている行為ですが、以下のような状況では許可されることがあります。
・労働者と雇用者が共に合意した場合
この合意は、雇用契約の内容を変更することを意味し、両者の間で新たな契約条件が再確認されます。
・就業規則の変更による間接的な減額
この変更は労働者にとって不利益なものであってはならず、また、変更が合理的であることを証明する必要があります。
・業績に基づく給与の調整
企業が業績給や調整給を導入している場合、業績が低下したときにこれらの給与の一部を減額できます。この場合、減額は契約時に定められた基準に基づくものでなければなりません。
・人事評価に基づく給与の減額
評価が低い従業員は、給与減額の対象となることがありますが、このプロセスは透明で公平である必要があります。
・懲戒処分としての給与減額
違反行為が発生した場合、企業は懲戒処分として給与を減額できます。ただし、この処分は就業規則に基づき、適切な手続きを経て行われる必要があります。業務命令による残業拒否による減額はこれにあたります。
減給を避けるには、まず36協定の内容確認を
定時帰宅を希望する場合には、まず36協定の適正な理解が重要です。業務命令としての残業を拒否する際には、その理由が重要であり、減給の可能性も考慮する必要があります。
しかし、減給には明確な条件が要求されるので、不当な処分には対抗することも可能です。とはいえ、職場での健全な労働環境を維持するためには、これらの知識と上司や人事部門との適切なコミュニケーションが不可欠といえます。
出典
厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー