更新日: 2024.04.05 働き方
上司が毎日3回以上「タバコ」を吸うために離席します。正直「サボりでは?」と感じますし、ニオイも気になります。私はタバコを吸わないのに「不公平」ではありませんか?
本記事では、タバコを吸う時間が労働時間にあたるのか、非喫煙者との不公平感を解消するにはどうすべきかについて解説します。
タバコを吸うための時間は労働時間になるのか?
労働基準法では「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を労働時間と規定しています。これは、現場で直接命令を受けている状況だけでなく、離れた場所にいても、いつでも呼び出されればすぐに業務に復帰できる状態であれば該当する可能性があります。
具体的な例を挙げると、以下のようなケースが労働時間とみなされる可能性が高いでしょう。
●喫煙場所が休憩室など職場内にあり、呼び出されればすぐに戻って業務に就ける
●喫煙所が離れていても、携帯電話等で上司から業務の指示や質問に応答できる状態にある
このような状態は、いつでも業務に戻れる準備ができており、私的な時間とはいえないからです。
しかし、非喫煙者から見れば、喫煙者がタバコを吸っている間も自分は業務をしており、業務が重なった場合などは、喫煙者の分まで仕事を引き受けざるを得ず、不公平感を抱く人もいるでしょう。
タバコ喫煙を不満に思う理由
民間のタバコに関する調査においては、「同じ部署で働いている喫煙者のタバコ喫煙を不快に思うか」という質問に対し、約60%の人が「そう思う」と回答しています。
その理由としては、タバコの匂いに関する不快感、相談したいときにタバコ喫煙により不在で業務が滞る、などの声があるようです。
タバコ喫煙が労働時間とならないケース
業務中のタバコ喫煙が、労働時間とみなされなかった裁判例もあります(泉レストラン事件、平成26年)。この例では、原告は昼休憩の時間以外に1日に4~5回タバコを吸いに職場を離れており、喫煙所から職場に戻るまでには10分ほどかかることから、業務から解放されていると判断されました。
適度な休憩は生産性を高める
職場でタバコを吸う人に対して不公平に思う人は多いかもしれませんが、勤務時間に仕事以外のことを全くしていない人は少ないのではないでしょうか。
例えば、コーヒーを飲んだり同僚と談笑したりする時間は誰にでもあることでしょう。こうした時間を設けることは、仕事の生産性を高めるためにも必要といえます。集中力を切らさず、メリハリのある働き方ができるようになるからです。
タバコ喫煙も、この息抜きの一環と考えると、業務に集中力を発揮でき、結果として仕事の質を高められるかもしれません。大切なのは喫煙者と非喫煙者が公平に一定の休憩を認め合うことでしょう。
非喫煙者との不公平さを解消するルールが必要
喫煙者と非喫煙者の間に生じる不公平感を解消するためには、会社全体として適切なルール作りが不可欠です。例えば以下のような対策が考えられます。
●タバコ休憩の時間を5分程度に制限する
●タバコ休憩の時間が長引いた場合は、昼休憩から差し引くなどして、休憩時間の扱いとする
●喫煙者と同じように、非喫煙者にも同様の休憩時間を認め、公平性を保つ
まとめ
タバコを吸う時間は、その時間の長さや頻度、すぐに業務に対応できるか等の状況により、労働時間とみなされるかの判断が分かれます。
会社全体として、喫煙者と非喫煙者の不公平感を解消するルールを整えることで、生産性向上につながり、より良い職場環境を作ることができるでしょう。
出典
厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い
心幸ホールディングス株式会社 タバコの喫煙と業務生産性の関連調査
執筆者:渡邉志帆
FP2級