更新日: 2024.02.28 働き方
「年収150万円」でも、控除額は「130万円超」と変わらない!? 勘違いしがちな「配偶者控除」のポイントを解説
実は、年収103万円を超えても配偶者の税金は変わりません。配偶者控除だけに目が行ってしまい、年収103万円をかたくなに守るのは、もったいないことをしているのかもしれません。本記事で解説します。
執筆者:八木友之()
「年収103万円」以内のメリットとは
扶養内で働きたい人にとって「年収103万円の壁」は、知らない人はいないくらい有名な言葉でしょう。扶養に入ることで、税金と社会保険の2つの点でメリットがあります。
年収103万円以内であれば自身の所得に対して所得税はかからず(一定額を超えると住民税は数千円かかります)、自身の配偶者は配偶者控除を38万円(配偶者の合計所得金額が900万円以下の場合)受けられ、社会保険料は配偶者の扶養として自身で負担する必要はありません。つまり、扶養の恩恵を最大限受けられる年収なのです。
年収103万円超でも配偶者の税金は変わらない
年収103万円を超えると、自身の配偶者は配偶者控除を受けられなくなります。配偶者控除は年収103万円以下(合計所得金額48万円以下)の人が対象になるからです。
年収103万円を1円でも超えてしまうと配偶者控除が適用されなくなるので、「絶対に年収103万円以下におさえないと」と思いがちですが、実は年収103万円超から年収201万6000円未満までは「配偶者特別控除」が受けられます。
そして、配偶者特別控除の金額は年収103万円超150万円以下までは38万円となっており、配偶者控除と同額の設定になっています。つまり、自身の年収が103万円であろうと150万円であろうと、配偶者が受けられる控除額は38万円で同じということです(配偶者控除、特別配偶者控除ともに、配偶者の合計所得金額が900万円以下の場合)。
「共働きだから関係ない」は違う
配偶者控除は専業主婦(夫)を扶養している場合に適用される控除だと勘違いしている人がいますが、前述したとおり年収103万円以下の人が対象となります。共働きでも条件が合えば、対象となります。
また、配偶者特別控除の上限年収である201万6000円以上稼いでいる人であっても、産休や育休中で年収が下がっている年は扶養に入れる可能性があります。「出産育児一時金、育児休業給付金をもらっているから……」は関係ありません。これらは非課税のため年収に含まれないからです。
その他、転職して年収が下がった、年の途中で仕事を辞めたという場合も扶養に入れる可能性があるので年収を確認しましょう。
フリーランスの場合は「利益48万円以下」が基準に
パートではなくフリーランスの場合には所得(利益)が48万円以下(青色申告特別控除後)であれば、配偶者の扶養に入ることができます。例えば、売上300万円、経費200万円、青色申告特別控除65万円の場合、所得は35万円になるので扶養に該当します。
給与と同じ考え方で、「売上103万円以下であれば扶養」と勘違いしないように注意しましょう。
まとめ
年収103万円超になると、自身の配偶者が配偶者控除38万円を受けられなくなりますが、その代わりに201万6000円未満までは配偶者特別控除が受けられます。
配偶者特別控除の控除額は、年収103万円超150万円以下までの場合、配偶者控除と同じ38万円なので、年収103万円を少し超えただけで損はしません。もっと稼ぎたいにもかかわらず、配偶者控除のために年収103万円以下を守る必要はないのです。
ただし、配偶者の勤務先によっては配偶者の年収が103万円以下でなければ給与の扶養手当や家族手当などが出ない場合があります。年収103万円を超える検討をする際には、その点も確認しましょう。
出典
国税庁 家族と税
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士