更新日: 2024.02.25 働き方
毎月「40時間」近く残業していて、「6万円」の残業代を受け取っています。これって多いですか?
そこで「毎月40時間残業していて、残業代は6万円しか出ない」という事例を基に、40時間の残業は一般的に多いのか、そのくらいの時間に対してであれば、どれくらい残業代があれば「多い」といえるのか、考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
残業時間の平均は意外と少ない13.9時間
「平均的な残業時間」と聞けば、どれくらいの時間になると思うでしょうか。20時間や30時間、人によっては40時間を大きく超え、50時間くらいだと思うかもしれません。実際、世界的にはもちろん、日本国内においても「日本は残業が多い」、「働きすぎ」といわれています。しかし、平均残業時間を見てみると、実際にはそれほど多くはないようです。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年度分結果確報」によれば、一般労働者における月間の所定外労働時間は13.9時間です。月の出勤日数は19.4日とされているため、1日当たりの残業時間はおよそ43分と、わずか1時間未満となっているようです。
これを見る限り、毎月40時間となると、一般的にはかなり多い残業時間といえるでしょう。厚生労働省によると、そもそも月の残業時間は、法律によって「原則45時間まで」と規制されています。その点を踏まえると、法定の残業時間ギリギリに近い40時間の残業を「多い」と感じるのは無理もないでしょう。
残業代の平均は2万6469円
平均の残業時間が分かったところで、次に気になるのが、残業代の平均的な金額でしょう。これも、同じく厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年度分結果確報」によれば、月の所定外給与は2万6469円となっています。月の残業代が6万円である、今回のケースと比較すると、かなり少なく感じられます。
また、この金額に対して、同統計のとおり残業時間が13.9時間だと考えると、1時間当たりの残業代はおよそ1904円です。それに対して、40時間で月6万円の残業代が出るとすると、1時間当たりの残業代は1500円です。
6万円という金額で考えれば、大きな額の残業代といえます。しかし、残業時間を時給換算して考えると「40時間残業をして、6万円の残業代」というのは、平均よりも少ない金額といえるでしょう。仮に平均どおり13.9時間の残業をしていたら残業代は2万850円となり、平均よりも5000円ほど低い計算になります。
転職についてどう考えていくべきか
「40時間残業をして、残業代は6万円」という状況は、あくまでも統計上のデータと比較した場合ですが、残業時間が多く残業代の時間単価も低いといわざるを得ません。もし、待遇に不満があるのであれば、転職を視野に入れることも方法の一つでしょう。少なくとも残業時間を考慮すれば、それほど多く残業代をもらっているとはいえないことが分かりました。
株式会社リクルートの実施した「転職時の賃金変動状況」に関する調査によれば、「前職と比べ賃金が1 割以上増加した転職決定者」の割合は、2023年7-9月期において、なんと35.3%です。この数値は2002年4-6月期以降、過去最高値といわれており、転職で給与面における待遇を上げるには、今は適した時期だといえます。
とはいえ、裏を返せば「転職をしても6割以上の方は給与が1割以上上がっておらず、その中には収入が減少している人も相当数いる」という可能性もある点には、注意が必要でしょう。
まとめ
毎月40時間も残業して、残業代が6万円だけという状況は、平均と比べて良い条件とはいえないでしょう。
もちろん年齢や業務内容などにもよるので、一概に現在の待遇が悪いとは言い切れません。とはいえ、今の待遇にどうしても疑問や不満があれば、現在転職市場が好況なことも踏まえ、一度転職について考えてみるのもいいでしょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年度分結果確報
株式会社リクルート 2023 年 7-9 月期 転職時の賃金変動状況
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制 分かりやすい解説
執筆者:柘植輝
行政書士