更新日: 2024.02.23 働き方

上司に「飲み会」や「ゴルフ」に誘われます。断ると「社会人なんだから」と怒られるのですが、業務外でも参加すべきですか? せめて残業代はもらえないのでしょうか?

上司に「飲み会」や「ゴルフ」に誘われます。断ると「社会人なんだから」と怒られるのですが、業務外でも参加すべきですか? せめて残業代はもらえないのでしょうか?
職場において「飲み会」を通じて親睦を深めることを指す「飲みニケーション」という言葉があります。「(お酒を)飲む」と「コミュニケーション」を合成させたこの言葉からイメージされるように、終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」はコミュニケーションの活性化に役に立つ側面があるとされ、断れば怒る上司もいるので注意が必要です。
 
しかし業務でもないのに、終業後の貴重な時間を費やしたくない、上司や先輩といるなら残業と同じだと考えている人もいるでしょう。この記事では、終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」に参加した場合、残業代を請求できる余地はあるのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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ポイントは労働時間と認められるか

終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」に対し、残業代を請求できるかは、参加することが労働時間と認められるかが争点になります。そして、労働時間として認められるためには指揮命令下に置かれているのが条件です。
 
過去の判例では、労働時間と認められる条件としてこのような見解が示されていました。

労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当する。

裁判所 裁判例結果詳細
 
「飲み会」や「ゴルフ」は事業所内で行われる行事ではありません。しかし、上司から参加するよう促され、断ると怒られるようなら「使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされた」の範疇に入る可能性が高く、残業代を請求する余地はあります。
 

ただし証拠が必要

残業代を請求するためには、証拠が必要です。
 
上司とのやり取りはメールやビジネスチャット上で行うなど、後から残る形で進めましょう。また「飲み会」や「ゴルフ」に関する情報や社内のカレンダーの記録などを写真やスクリーンショットで確保しておくのも効果的です。
 

「飲み会」が不要だと思う人の言い分は?

実際のところ、どれだけの人が終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」を不要だと思っているのか、データを紹介しましょう。大手生命保険会社の日本生命が契約者に向けて行ったアンケートによれば「職場で“飲みニケーション”は必要だと思いますか?」という問いに対し、回答者の55.2%が「不要」「どちらかといえば不要」と答えていました。上位の理由として挙がっていたのは「気を遣うから」「仕事の延長と感じるから」の2点です。
 

必要だと思う人にも言い分はある

一方「職場での“飲みニケーション”が必要だと思いますか?」という問いに対し「必要」「どちらかといえば必要」と答えた人は回答者の44.7%でした。必要だと思う理由で上位にきた選択肢は「本音を聞ける・距離を縮められるから」「仕事の悩みを相談できるから」の2つです。
 

断る側も誘う側も気遣いは忘れずに

終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」は、参加しないと上司が怒るなどの理由で強制参加になっているようなら、残業時間として認められる余地はあります。
 
しかし、現実的な問題として、上司にも「部下の話を聞きたい」「悩みがないか確認したい」など、相応の理由があって誘っているはずです。毎回お付き合いするのは難しいにしても、無理のない範囲で予定をやりくりして応じたほうが人間関係はスムーズにいくでしょう。
 
逆に、自分が誘う側の上司だった場合、部下が断ったからといって怒るのは大人気ないかもしれません。ましてや「飲み会」や「ゴルフ」の誘いを断ったからという理由だけで仕事で冷遇するのは、パワハラにあたるおそれがあります。
 
部下に断られたとしても「それなら、先々で予定を合わせてもらって良いかな?」など、相手が不快にならない対応を心がけましょう。
 

出典

裁判所 裁判例結果詳細
日本生命保険相互会社 ニッセイ インターネットアンケート~「勤労感謝の日」について~
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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