更新日: 2024.02.23 その他家計

転職活動がうまくいかず、無収入の状態が続いています。「NHK受信料」は申請すれば免除になりますか? 年金は「全額免除」を受けており、少しでも支出を減らしたいです…

転職活動がうまくいかず、無収入の状態が続いています。「NHK受信料」は申請すれば免除になりますか? 年金は「全額免除」を受けており、少しでも支出を減らしたいです…
失業などの理由で収入がないときは、少しでも出費を抑えたいものです。国民年金にはそのような場合に利用できる免除制度がありますが、NHK受信料にも同じような制度があるのでしょうか?
 
本記事では、NHK受信料の免除制度について、概要や免除要件を説明します。

国民年金の免除制度

国民年金には、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」といった保険料免除制度があります。また、学生納付特例や保険料納付猶予の制度も設けられています。このうち「全額免除」の所得要件をみていきましょう。
 

国民年金「全額免除」の所得要件

国民年金保険料が全額免除になる所得要件は、本人・配偶者・世帯主の前年所得が次に該当するときです。
 
「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」以下
 
1人暮らしの場合は、前年所得が67万円以下ということになります。給与収入でいえば、年間122万円までは全額免除の範囲です。また国民年金には、失業した場合などに利用できる特例免除制度もあります。この場合は、失業した人の前年所得をゼロとして免除の要件を判定します。
 
なお、この特例免除では離職理由は問われず、自己都合退職の場合でも利用可能です。公的年金である国民年金の保険料にこうした免除制度があるのですから、公共放送のNHKにも免除制度がありそうと思う人は多いかもしれません。
 

NHK受信料は免除される?

NHK受信料にも「全額免除」「半額免除」の免除制度があります。しかし、免除の要件が国民年金とは異なります。
 

NHK受信料の全額免除の要件

NHK受信料の全額免除の主な要件は、次のようなものです。


・生活保護法に規定する扶助など、公的扶助を受けている
・市町村民税非課税の身体障害者、知的障害者、精神障害者などに該当し、かつ同じ世帯の全員が市区町村民税非課税である
・社会福祉施設などに入所している
・親元を離れて暮らしている年間収入が一定額以下の学生 など

上記の他にも、自然災害による免除制度があります。2024年1月の能登半島地震についても、災害救助法が適用された区域内で一定以上の被害を受けた場合や避難指示などが続く場合は、全額免除制度が適用されています。
 

NHK受信料の半額免除の要件

NHK受信料が半額免除になるのは、次に該当する人が世帯主で、かつ受信契約者の場合です。


・視覚障害または聴覚障害により、身体障害者手帳を所持している
・身体障害者手帳を所持している人で、障害等級1級または2級の場合
・特別障害者のうち、精神保健福祉センター、精神保健指定医等により重度の知的障害者と判定された場合
・精神障害者保健福祉手帳を所持している人で、障害等級が1級の場合 など

NHK受信料は所得が低いだけでは免除されない

こうしてみると、NHK受信料は、ただ所得が少ないだけでは、全額免除・半額免除ともに要件を満たせず、支払い続けるしかないようです。
 
国民年金の全額免除要件より厳しいようにも思えますが、令和5年度の国民年金保険料が月1万6520円、NHK受信料が月1100円(地上契約のみの場合)であり、15倍近くの差があることを考えると、仕方がないかもしれません。
 

まとめ

NHK受信料にも「全額免除」「半額免除」の制度がありますが、所得が低いだけではどちらの要件にも当てはまりません。しかし、失業などにより一時的に生活が厳しいときのために、水道代や電気代などの支払いを猶予してくれる自治体や企業もあるので、相談してみるとよいでしょう。
 

出典

NHK 受信料免除の対象となる方について
NHK「令和6年能登半島地震」における放送受信料の免除について
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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