更新日: 2024.02.21 働き方
体調不良で勤務先のレストランに休みたい旨を伝えたところ「代わりを探すなら休んでいい」と言われました。本当に私が探す必要があるでしょうか?
急な欠勤は周囲に迷惑がかかると考え、自分で代わりを見つけなければと責任を感じてしまう方もいるかもしれません。
この記事では、当日になって欠勤する場合、勤務先の人が言う通りに代わりの人員を探す必要があるのかについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
体調不良で仕事を休むと、どれだけの賃金を失う?
厚生労働省によると、東京都の最低賃金は1113円です。一日8時間働いた場合、それだけで8904円の損失が生まれてしまうことになります。店側にとっても、労働力が一人分減るわけですから、その分店のパフォーマンスが落ち、その日の売上が低下する可能性もあります。そのため、「代わりを見つけて欲しい」との要望がでたのでしょう。
「代わりを見つけて」と言われても探す必要はないケースがほとんど
正社員はもちろん、アルバイトやパートなどを含む労働者は、職場と労働契約を結んでいます。
労働契約を結んでいる場合は、会社は業務遂行のために労働者に対して指示または命令を行える業務命令権を持っています。
業務命令の内容は「出勤時刻を守ること」「残業の指示」「職種や勤務場所の変更」などさまざまです。「代わりを探すなら休んでいい」という発言も、業務のために必要な命令と感じ、従わなければならないと思ってしまう方もいるかも知れません。
しかし労働契約法の第五条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」としています。
つまり労働者へ「代わりの人員を確保しなければ休めない」と思わせるような指示は、労働者の安全を守れているとは言えない可能性があるのです。
また、代わりを見つけられない事を理由に、体調不良にもかかわらず出勤を強要する職場の指示も、違法にあたる可能性があります。なぜなら、体調不良のまま出勤した労働者が、業務中に体調が悪化する、ほかの労働者へ病気を移してしまう、といった可能性があるためです。
例え繁忙期であっても、有給休暇は取得できる
「忙しい時期だから、代わりを見つけてくれないと困る」と勤務先から言われることもあるかも知れません。繁忙期に休むのは気が引けてしまうかも知れませんが、その場合でも有給休暇は自由に取得できることがほとんどです。
「年次有給休暇」とは、あらかじめ企業が定めた所定の休暇以外に休暇を取得しても、給与が支払われる仕組みのことで、勤続年数によって、1年のうちに取得できる休暇の日数が決まっています。
また原則として、労働者は理由にかかわらず自由に取得できるとされています。とはいえ有給休暇を取得するときは、できるだけ繁忙期を避ける、前もって休暇を取得したい日を職場に伝えておくなどの配慮は必要でしょう。
「代わりを探すなら休んでいい」は従わなくてよい可能性が高い
以上のことから、当日に、体調不良などのやむを得ない事情から欠勤することを職場へ伝えた際に「代わりを探すなら休んでもよい」と言われた場合は、従わなくてもよいケースがほとんどであると考えられます。
職場は、労働者の安全を確保しながら業務に従事してもらう責任があります。また労働者には、年次有給休暇を自由に取得する権利があります。
代わりが見つからなかったからと、体調不良にもかかわらず出勤した場合、本人の体調不良が悪化するだけでなく、周りの人へ影響を与える可能性があることを考えると、職場の指示は適当でないといえるでしょう。
しかし労働者も、やむを得ない事情であるとき以外は、取得したい有給休暇の日程をあらかじめ職場に伝えておくなど、職場へ配慮するよう心がけましょう。
出典
e-Gov法令検索 平成十九年法律第百二十八号 労働契約法 第五条
厚生労働省 労働基準局 監督課 知っておきたい働くときのルールについて
厚生労働省 東京都最低賃金を1,113円に引上げます
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー