更新日: 2024.02.21 働き方
夫は公務員ですが、残業の日の帰宅は「22時」です。市役所は17時に閉まるので結婚すれば「家事・育児」を分担できると思っていたのですが、なぜこんなに「残業」が多いのでしょうか?
本記事では具体的にどれくらい残業をしているのか、育休や有休の取得率は民間と比べるとどれくらい違うのかについて詳しく解説します。
地方公務員の残業時間は月12.5時間! なかには100時間以上の人も
総務省の「令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要」によると、地方公務員の平均時間外勤務時間は年間149.6時間で、月間にすると12.5時間です。月に20日出勤した場合、1日40分程度であり、そこまで多く感じないのではないでしょうか。
なお参考までに、民間企業の全産業平均は月10.1時間で、公務員のほうが少し多いという結果になっています。
45時間以上残業している人は約5%
調査によると月間45時間以上の残業をしている人の割合は、市町村、政令指定都市、都道府県職員を含めた全体で5.4%です。なかには月間100時間以上残業している人もいるようです。これは、配属された部署や、時期などによって残業時間が変わってくることが影響しているようです。
繁忙期や部署による違い
人事異動などの影響で、3月~4月はどの部署も引き継ぎや新しい業務に慣れないという点から残業が増えることもあるでしょう。
人事や財務に関する部署は組織の中核的な役割を担っていることから、他の部署に比べて残業時間が増える可能性が高いといえます。また、福祉や介護、税金などの社会保障に関する部署も業務量が多く、閉庁してから残務せざるを得ないこともあるようです。
理想をいえば残業がないほうが好ましいと感じる人が多いと思いますが、一般的に定時で帰宅できるイメージのある公務員でも、時期や部署によってはやむを得ない場合もあります。
地方公務員の有休・男性の育休取得率は民間企業より高い
地方公務員の有給休暇と男性の育児休暇取得率は、民間企業より高い傾向にあります。詳しく見ていきましょう。
有休の平均取得日数は12.6日
有給休暇は、各自治体の条例により定められています。一般的には国家公務員に準じて年間20日付与されます。総務省の実施した調査によると、令和4年中に取得した平均年次有給休暇は12.6日で、民間企業より取得率は高くなっています(図表1)。
図表1
総務省 令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要より筆者作成
男性の育休取得率は過去最高に!
令和4年度に新たに育児休暇を取得した地方公務員男性の数は2万57人で取得率は31.8%となっています。これは、前年度の19.5%を大きく上回る結果で、男性の育休取得が積極的におこなわれていると言ってよいでしょう。
民間企業の取得率は17.13%のため、公務員は民間企業より育休を取りやすい環境かもしれません。さらに、1ヶ月以上の期間取得した割合は46.7%で、そのうち3ヶ月以上は23.7%となっており長期間の育休取得も実現できそうです。
育児を分担するという点においては、民間企業より実現しやすく、理解が得られやすい職場環境が今後も進んでいくことが期待できるでしょう。
まとめ
公務員であっても、市役所などが閉まった後、繁忙期であったり、忙しい部署に配属されたり、あるいは突発的な事象への対応をしたりと、さまざまな理由で時間外勤務をせざるを得ないことがあります。
一方で有給休暇や、男性の育児休暇は民間企業に比べると多く取得できています。平均残業時間は民間企業勤務より少し多いものの、公務員の夫は家事や育児への協力がしやすくワークライフバランスが重視されているといえるでしょう。
出典
総務省 令和4年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報
総務省 地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果(概要)
e-Gov法令検索 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律
執筆者:渡邉志帆
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