更新日: 2024.02.06 貯金
祖母が自分のために「1000万円」貯めておいてくれました。しかし本人は認知症で引き出せません… どうすればよいでしょうか?
「もし、家族が認知症になったら困るから、早めにお金の管理ができるようにしたい」
などの悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、親族の方が認知症になってしまった場合にお金を引き出す方法、そして認知症が発症する前にできる対策について紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
本人が認知症の場合、親族でもお金を引き出せない場合がある
認知症の進行度合いにもよりますが、暗証番号を忘れたり引き出す方法が思い出せなかったりなどで、本人ではお金が引き出せないことがあります。そこで代わりに親族が引き出しをしようとしても、認められない場合もあります。
「キャッシュカードを借りれば、本人でなくても引き出せるのでは?」と思う人もいるでしょう。
しかし、詐欺などの被害から高齢者を守るため、銀行によっては年齢に応じて1日の取引上限額を制限しているケースもあります。また、毎日のように高額の引き出しがあるなど、銀行員が不審に思った際は本人に意思確認の連絡をすることもあります。
この連絡の結果、本人に十分な判断能力がなく、家族が本人のキャッシュカードで引き出していることが知られた場合、口座が停止される可能性が高いです。よって、認知症になった親族のキャッシュカードを借りることはおすすめできません。
親族の方が認知症でお金を引き出せない場合、被害届が出される可能性は極めて低いです。しかし、他人のキャッシュカードを利用してお金を引き出すのは、たとえ親族であろうとも「窃盗罪」や「横領罪」に該当する可能性があるので、適切な手続きを踏んでから引き出しましょう。
本人が引き出せない場合「成年後見制度」を利用しよう
本人が認知症などの事情でお金を引き出せない場合は「成年後見制度」を利用しましょう。成年後見制度とは、判断能力が不十分で、契約や預金の引き出しなどができない方を「成年後見人」が代理して手続きを行う制度です。成年後見人は不動産の売却なども行えるので、不動産を保有している認知症の親族の方がいる場合にも利用されます。
「成年後見制度」を利用するには?
成年後見制度を利用するには、まず手続きをする必要があります。本人に十分な判断能力があるうちは「任意後見」を、本人の判断能力が不十分な場合は「法定後見」を、居住地の家庭裁判所にて行います。
成年後見制度の利用手続きは、成年被後見人、つまり代理を「してもらう人」にどの程度判断能力があるかで異なるので、それぞれの場合を、厚生労働省「成年後見制度とは」を基に確認していきましょう。
本人に十分な判断能力がある場合
成年後見制度を利用するにあたって、代理をしてもらう本人にまだ十分な判断能力がある場合は、「任意後見」という制度を利用します。
将来、自分の判断能力が不十分になってしまう前に「誰に支援してもらうか」「何を支援してもらうか」を定めるのです。公証人役場で公正証書を作成する必要があり、時間がかかるため、日程に余裕を持って手続きをしましょう。
本人に十分な判断能力がない場合
一方、本人に十分な判断能力が残っていない場合、申し立てを行い、家庭裁判所に後見人を選任してもらう必要があります。
ただし、この後見人の選定において、必ずしも親族が選ばれるとは限りません。法律や福祉の専門家や、福祉関係の公共法人などが選ばれる可能性もあります。よって、可能な限り早く、十分な判断能力があるうちに本人と相談し、手続きをしておくことをおすすめします。
本人が認知症で引き出せない場合は「成年後見制度」を利用する
一般社団法人前項銀行協会によると、成年後見制度を利用すれば、親族の方があなたのために貯めておいてくれたお金を本人の判断能力が低下しても引き出せる可能性があるようです。しかし、判断能力が低下する前に手続きをする「任意後見」と、判断能力が低下した後に手続きをする「法定後見」には大きな違いがあります。
まず、任意後見の場合、本人が「誰に」「何を」支援してもらうのかを決められます。一方、法定後見の場合は家庭裁判所が法定後見人を決定するので、家族以外の法律・福祉の専門家や、福祉関係の公共法人が法定後見人になることもあります。
せっかくご顔族の方が「あなたのために」と貯めておいてくれた貯金を自由に利用できない可能性があるのです。
また、手続きを渋り、本人のキャッシュカードを利用して引き出しを行うと、口座が停止されることもあるので、必ず成年後見の手続きを行いましょう。
出典
厚生労働省 成年後見制度とは
一般社団法人 全国銀行協会 預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引き出しに関するご案内資料(1ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー