更新日: 2024.02.01 働き方
せっかくの休日なのに「緊急時に備えていつでも出社できる準備をしておいてほしい」と言われました。これって労働にならないのでしょうか…
会社にいないとはいえ、休日の過ごし方が制限されてしまうことで「賃金が発生してもよいのでは?」と思う人もいるでしょう。本記事では、労働時間の考え方とともに、労働時間に該当する時間にはどのようなものがあるのかをご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「労働時間」の考え方とは?
労働基準法では、法定労働時間を「1日8時間以内、週40時間以内」と定めており、少なくとも1週間に1日、または4週間を通じて4日以上の休日を労働者に与えなければならないとしています。
これを超えて労働させる場合は、会社と従業員が36協定を締結したうえで、割増賃金が支払われなければなりません。問題は、何をもって「労働時間」とするか、ということです。厚生労働省によると、労働時間とは、会社の「指揮命令下」にある時間のことをいいます。
実際に上司からの指示を受けて業務に従事している時間はもちろんのこと、明らかな指示がない場合であっても、その行為が会社から義務付けられたもの、または余儀なくされるものであれば、労働時間に該当する可能性が高くなります。
どのような時間が「労働時間」に該当するのか?
厚生労働省の「労働時間の考え方」によると、着用を義務付けられている制服に着替えるための時間や、終業時間後に業務の後片付けを行った時間も、労働時間に該当します。
また、休憩時間中に「電話が鳴ったら出るように」「来客があったら対応するように」と指示されている場合も、完全に労働から離れていない状態で待機することになるため「労働時間である」と判断される可能性が高いでしょう。
研修や勉強会などに参加している時間についても、その参加が会社から義務付けられたものである場合は、労働時間に含まれると考えられます。
労働者を会社で待機させた場合は「労働時間」になる?
休日に労働者を事業所内で待機させて、緊急時に備えていつでも動けるようにしておくようにと会社が指示した場合は、労働時間になる可能性が高いでしょう。
しかし「自宅で緊急時に備えて準備しておくように」という指示の場合は、自宅での自由が保障されていることから「会社の指揮命令下にある」とは判断しにくくなります。
ただし、休日でありながら行動が制限されてしまうことにはなるため、なんらかの手当が支払われるべきではないかと考えられます。
自宅での待機は「労働時間」とみなされない可能性が高い
せっかくの休日に会社から「緊急時に備えておくように」という指示があった場合に「労働時間になるのでは?」「賃金は発生しないのか?」と、疑問に思う人もいるでしょう。
労働基準法では、労働時間を「会社の指揮命令下にある時間」と定義しており、自宅での待機は「労働から離れている時間」と判断されやすく、労働時間とはみなされない可能性が高くなります。
行動がある程度制限されることに関して、手当の支払いがないのかと疑問に感じるようならば、会社に確認してみるとよいでしょう。
出典
厚生労働省
労働時間・休日
岡山労働局 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン 3 労働時間の考え方
長野労働局 労働時間に関する相談 Q4 労働者に「休日は、急な呼び出しに備えていつでも会社に来られるよう、できれば自宅にいてくれ。」と言ったところ、労働者から「そのような待機は労働時間になるのではないか。」と言われました。自宅待機を命じた場合でも労働時間として取り扱わなければなりませんか。(使用者)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー