更新日: 2024.01.30 働き方
【残業地獄…?】応募先が「裁量労働制」。残業って無限に発生するのでしょうか?
本記事では裁量労働制について、対象業務の概要を解説します。特に、これから新卒で就職する人や、転職活動する人は参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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裁量労働制とは?
裁量労働制とは「みなし労働制」の一つで、会社が定めた実際の労働時間で働くのではなく、労使間で規定した時間を働いた時間とみなす制度です。これにより労働時間に縛られることなく、柔軟かつ自由な働き方が期待できます。
例えば、裁量労働制にてみなし労働時間を1日8時間と規定した場合、実際に働いた時間が6時間でも10時間でも反映されるのは8時間分の給与となる仕組みです。
裁量労働制には種類と対象業務がある
裁量労働制はすべての会社が導入しているわけではなく、対象となる業務は「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の2種類と決められています。
専門業務型裁量労働制は専門性の高い業務、企画業務型裁量労働制は企画・立案・調査・分析を行う業務となっており、それぞれ該当する業務は以下のとおりです。
専門業務型裁量労働制は、業務遂行のための手段や方法、時間配分や管理などを労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に導入が許可されています。現在、対象となる業務は以下の19種類です。
・新商品・新技術の研究開発、人文科学または自然科学に関する研究
・情報処理システムの分析・設計
・新聞・出版の事業・放送番組における記事の取材、編集
・衣服・室内装飾・工業製品・広告などの新デザイン考案
・放送番組・映画などの制作事業におけるプロデューサーまたはディレクター
・コピーライター
・システムコンサルタント
・インテリアコーディネーター
・ゲーム用ソフトウエアの創作
・証券アナリスト
・金融工学などの知識を用いて行う金融商品の開発
・学校教育法に規定する大学における教授研究(研究従事者に限る)
・公認会計士
・弁護士
・建築士(一級建築士、二級建築士および木造建築士)
・不動産鑑定士
・弁理士
・税理士
・中小企業診断士
企画業務型裁量労働制は専門型裁量労働制とは違い、対象業務は規定されていません。事業の運営に重要な決定が行われる本社などで、以下に該当する労働者に対して導入が可能です。
・企画や立案、調査および分析を行う労働者
・創造性豊かな人材が能力を存分に発揮するために、フレキシブルな働き方ができる労働者
ただし、いかなる事業場においても導入できるわけではなく、対象業務が存在する場合に限ります。対象業務が存在する事業場は、以下のとおりです。
・本社・本店である事業場
・所属する事業場の運営に大きな影響を与える・決定する業務
業務が終了すれば終業時間を待たずに退勤できる
裁量労働制は働き放題、残業し放題の制度ではありません。業務が終了すれば終業時間を待たずに退勤が可能です。自分のペースで業務を進めたり、時間配分を行ったりできるので、ライフスタイルに合った自由な働き方が実現するでしょう。
裁量労働制を適用しても残業代が支払われるケース
裁量労働制が適用されたとしても、以下に該当する場合は手当が支払われます。
・みなし労働時間が8時間を超える
・深夜労働や休日労働を行った
事業場の時間外労働の割増賃金率25%だとして、みなし労働時間10時間、1時間あたりの基礎賃金が3000円の労働者の残業代は、以下のように計算します。
・1日あたりの法定外労働時間:10時間-8時間=2時間
・1日あたりの残業代:2時間×3000円×1.25=7500円
裁量労働制は残業が無限に発生する制度ではない
裁量労働制には「みなし労働時間」が設定されていますが、法定労働時間を超えた場合は残業代が発生します。裁量労働制の導入時には労働者の同意が必要となるため、入社時に内容を正しく確認しましょう。
また、残業代の発生対象にも関わらず支給されない場合は、会社にその旨を伝える、所轄の労働基準監督署に相談することを視野に入れてください。
出典
厚生労働省 裁量労働制の概要
厚生労働省 現行の裁量労働制について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー