更新日: 2024.01.29 働き方
試用期間は給与が「2万円安い」なんて聞いてない…!本来の基本給を会社に請求できますか?
そのことを事前に知らされていなかったため、実際に給与が支払われてから驚いてしまうこともあるかもしれません。この場合、本来の基本給を会社に請求することは可能なのでしょうか。
本記事では、試用期間の定義や、試用期間中の給与が本来より安いことを聞かされていなかった場合に、労働者がとれる対策についてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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試用期間とは?
試用期間とは、正式に雇用される前の「試みの期間」であり、労働者の勤務態度や能力などを評価する目的で設けられます。試用期間の長さについては労働基準法に定めがないため、会社によって異なりますが、1~6ヶ月の場合が多いようです。
また、試用期間中はすでに労働契約の効力が発生しているため、正式雇用を拒否することは解雇に当たります。基本的に正式雇用を拒否できるのは「勤務態度が悪い」「経歴を詐称していた」などの正当な理由がある場合のみです。
試用期間の給与が安いことは事前に説明される?
試用期間中は本来より給与が安いなど、労働条件が正式雇用後と異なる場合もあります。
ただし、このことは、試用期間が始まる前の段階で労働者に知らされていなければなりません。
職業安定法第5条の3によると、労働者の募集・求人を行う際には、労働条件を明示する義務があるとされています。求人票や募集要項で、試用期間を設けていることや、試用期間中の賃金はいくらなのかを明示することになっているのです。
試用期間の場合も労働条件を明示しなければならず、試用期間中の労働条件が正式雇用後の労働条件と異なる場合は、試用期間中と正式雇用後のそれぞれの労働条件を明示する必要があります。
試用期間の給与が安いことを聞かされていなかった場合の対処法は?
試用期間の給与が安くても、求人票や募集要項・労働条件通知書などに明記されており、労働者がこれに合意して入社していれば問題はありません。
しかし、試用期間が始まってから、給与が正式雇用後よりも安いということを知るのでは困ります。事前に労働条件の明示がなかったり、分かりにくかったりした場合は、会社に確認しましょう。
納得のいく回答が得られないようであれば、紹介を受けたハローワークや、労働局に相談してみることをおすすめします。
労働条件の明示が行われないことは違法の可能性がある
会社が労働者を雇う際には、労働条件を明示する必要があります。
試用期間があることはもちろん、試用期間中の給与が正式雇用後よりも安い場合は、その旨も明示しなければなりません。労働条件の明示がなく、労働者が「正式雇用後より2万円も給与が安い」ということを試用期間が始まってから知った場合は、違法である可能性が高いでしょう。
正式雇用後と同じ額の給与を請求できるかどうかは場合によりますが、ハローワークや労働局などに相談してみるとよいでしょう。
出典
大阪府 労働相談ポイント解説 労働契約の締結に関する相談 14 試用期間(Ⅲ-14-1ページ)
デジタル庁e-GOV法令検索 職業安定法 (労働条件等の明示)第五条の三
厚生労働省 知って役立つ労働法 第2章 働き始める前に コラム5 試用期間について(23ページ)
厚生労働省 職業安定局 職業安定法の改正について 募集・求人時の労働条件等明示について(2ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー