更新日: 2024.01.25 貯金

コツコツ貯めたタンス預金が「500万円」あります。これを頭金に住宅購入したら、親からの贈与を疑われますか? 税務署から「お尋ね」など来るのでしょうか…?

コツコツ貯めたタンス預金が「500万円」あります。これを頭金に住宅購入したら、親からの贈与を疑われますか? 税務署から「お尋ね」など来るのでしょうか…?
毎月お給料の中からコツコツ貯めたタンス預金。いざ住宅購入の頭金に充てたときに、贈与を疑われて贈与税を徴収されたら本当につらいですよね。
 
本記事では、コツコツ貯めたタンス預金を住宅購入の頭金に充てた場合、贈与を疑われる可能性と税務署への対応について解説します。また、タンス預金で住宅購入したときに、贈与を疑われる具体的なケースについても紹介します。

住宅購入にタンス預金を充てても大丈夫

コツコツ貯めたタンス預金は、お金の出どころがきちんと説明できれば、住宅購入の頭金に充てても贈与税を課されることはありません。
 
住宅購入時の頭金支払いのほとんどは、住宅メーカーや不動産会社から銀行振込を依頼され、現金手渡しで支払うことは少ないでしょう。この場合、いったんタンス預金を自身の口座に入金することになりますが、「まとまった入金だから」という理由だけで税務調査や、課税をされることはありません。
 
ただし、住宅購入のお金の出どころについて、タンス預金であるか否かにかかわらず税務署から「お尋ね」が届く場合があります。
 

税務署からのお尋ねの内容は?

タンス預金のお金の出どころを証明できる資料がなくても、贈与税を課税される心配はありません。しかし、住宅購入時の支払いは高額となるため、タンス預金かどうかにかかわらず「新築、買入または賃借された家屋等についてのお尋ね」または「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」の文書が届くことがあります。時期は住宅購入の半年~1年後のことが多いようです。
 
住宅購入をして、不動産登記がおこなわれると法務局から税務署に通知が行きます。税務署は誰がどのような不動産を取得したかを把握し、贈与がおこなわれていないかをチェックするのです。
 
お尋ねに回答の法的義務はありませんが、無視すると督促が届き、さらに無視し続けると税務調査となる可能性もあります。正しく回答し、返信しましょう。税務署からの「お尋ね」の内容は次の5つです。

1)職業・年齢・年間所得
2)買入先
3)買入時期・買入価額
4)関連費用
5)支払代金の調達方法

購入した不動産が購入者の年間所得と比較して高額すぎる場合などは「購入資金が本人の財産なのか」「贈与資金が含まれていないか」「脱税の可能性はないか」など「お尋ね」で調査される可能性があります。
 
しかし、脱税もなく、自分でコツコツ貯めたタンス預金である場合には、たとえ現在は専業主婦(夫)で収入がない場合でも、「以前働いていたときに、毎月3万円とボーナスに手をつけずに貯めたもの」など説明ができれば大丈夫です。一方で、贈与を疑われてしまうケースを次に紹介します。
 

贈与を疑われる例

独身時代からコツコツ貯めたタンス預金を頭金にしていても、贈与と見なされてしまうケースを紹介します。
 
会社員の夫と専業主婦の妻の夫婦共有名義で住宅を購入し、夫の独身時代のタンス預金と夫名義の住宅ローンを組んだ場合は妻への贈与と見なされる可能性があります。
 
税務署は夫の確定申告の「配偶者控除」によって、妻が無収入であることを把握しています。夫婦共有名義なのに、妻が資金を出していないとすると、夫から妻へ自宅の持分を贈与したと見なされる可能性があります。
 
妻が専業主婦でも頭金を妻のタンス預金から支払っており、妻が働いていたときの預金を支払いに充てている旨を「お尋ね」に記載すれば贈与と見なされる心配はないでしょう。
 

まとめ

自分でコツコツ貯めたタンス預金は、どのように保管していてもとがめられることはありません。もちろん住宅購入の頭金に充てても問題ありません。しかし、現在の収入に対して高額な住宅購入をした場合などは税務署から「お尋ね」が届く可能性があります。
 
しかし「お尋ね」の「支払い代金の調達方法」欄に、「独身時代から月に○万円ずつ10年間貯めてきた自身のお金である」などの旨を記載すれば問題ないので、安心して住宅購入に活用しましょう。
 

出典

国税庁 国税の適正・公平な課税の実現のための協力について
国税庁 登記情報連携システムを用いた登記情報の提供に関する合意書(法務省民事局商事課/国税庁個人課税課)
 
執筆者:古澤綾
FP2級

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