更新日: 2024.01.20 働き方
週3日パートで働いています。会社から「この日に有給使うね」とシフトを組まれましたが、違法でしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
有給休暇を雇用主が使っても違法にならない場合がある
社員が労働基準法で必要な日数を取得できていなければ、雇用主が社員の有休取得日を決められる場合があります。雇用主が有給休暇の日付を指定しても問題がない場合について、解説します。また、雇用主が有休取得をさせたい理由についても、詳しく見てみましょう。
年間10日の有休付与があれば5日は使用する必要がある
2019年4月に改正された労働基準法で、雇用主に、以下の内容が義務づけられました。
・年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、年5日の年次有給休暇については、使用者(=雇用主)が時季を指定して取得させる
例えば、2023年4月1日に入社した社員が、6ヶ月経過した2023年10月1日に10日以上の有給休暇を付与された場合は、付与から1年後の2024年9月30日までに、5日間の有給休暇を取得する必要があります。正社員でなくても、年次有給休暇が10日以上付与されるパートタイム労働者に対しては、年5日の年次有給休暇を確実に取得させなければなりません。
有給休暇を取得しない社員がいると会社にもペナルティーがある
雇用主が有休を取得させたい理由は、社員が有休取得しない場合のペナルティーが大きいためです。年5日の有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法第120条によって、労働者1人の違反につき30万円以下の罰金が科されます。雇用主はペナルティーを避けるためにも、社員の有休取得を推進しているのです。
有給休暇は原則、労働者が取得する日を希望できる
労働基準法で規定されている「時季の指示」とは、雇用主が取得日を指示するという意味ではありません。雇用主は社員の意見を聴取して、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるように、意見を尊重する必要があります。
雇用主による年次有給休暇の「時季の指定」を実施する場合は、対象となる労働者の範囲および時季指定の方法などについて、就業規則に記載しなければなりません。会社側がシフトを作る際に、労働者の有給休暇を勝手に使おうとしたときは、就業規則を確認して、有休取得の予定を相談して希望を伝えましょう。
パートが覚えておくべき有給休暇の付与日数と休暇の使用期限
パートタイム労働者に対しても、労働基準法の規定に基づいて、年次有給休暇が付与されます。勤続年数と週に何日勤務しているかによってもらえる有休日数と、有給休暇の取得期限について解説します。
週3パートの有休付与日数は労働日数と勤続年数で変わる
労働日が週4日以下、週30時間未満のパートタイム労働者は、労働日数と勤続年数に応じて有休日数が決まります。
週3パートタイム労働者の場合、勤続年数に応じて付与される有給休暇日数は、以下の通りです。
6ヶ月:5日
1年6ヶ月:6日
2年6ヶ月:6日
3年6ヶ月:8日
4年6ヶ月:9日
5年6ヶ月:10日
6年6ヶ月以上:11日
労働基準法の規定では、勤続年数が長いほど有給休暇の日数が増えます。週3勤務のパートタイム労働者でも、勤続年数が5年6ヶ月の方は年10日の有給休暇が付与されますので、年間で5日の有休取得が必要になります。
有給休暇は付与から2年以内に使用する
年次有給休暇を労働者が請求できる期間は、付与から2年以内です。ただし、年次有給休暇が付与されるタイミングは、会社の就業規則によって異なります。
会社の年度切り替えで付与される場合もあれば、社員それぞれの入社月に付与される場合もあります。いずれの場合でも、有給休暇の請求権は、付与された日から2年です。日数だけではなく、期限も意識して利用しましょう。
有給休暇の日数を把握して計画的に取得しよう
年次有給休暇を10日以上付与されている場合は、年5日の取得が必要になります。年5日の有給休暇の取得は、雇用形態ではなく、年間の有休付与日数によって規定されています。そのため、週3日労働のパートタイム労働者も、年5日取得の対象になります。雇用主は5日間の有休取得ができていない社員に対して、有休取得の時季指定ができます。
一方で、時季指定をする際には、雇用主は社員の意見を聴取・尊重する必要があります。パートタイム労働者の有休日数は不規則です。シフトを見て、勝手に有休を使われていた場合は、自分で把握している有休日数や消化時期が合っているかを、雇用主に相談してみましょう。
出典
厚生労働省
休み方に関するマニュアル(7・8ページ目)
働き方・休み方改善ポータルサイト 労働者の方へ 年次有給休暇とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー