更新日: 2024.01.19 働き方
「月末までに有休2日取ってね」と言われました。有給休暇を指示することは違法にならないんでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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有給休暇は上司に指示できる?
上司が「月末までに有休2日取ってね」と伝える場合に、法的権利とはどのように結びつくのでしょうか。労働基準法の規定と、上司の指示との関係性について考えてみましょう。
上司が有休を指示しても違法にならない場合がある
労働者が有休を規定日数取得しない場合に、会社側から指示することができます。2019年に改正された労働基準法の有休取得に関する規定は、以下の通りです。
・法定の年次有給休暇日数が10日以上の全ての労働者に対して、毎年5日間、年次有給休暇を確実に取得させることが必要
これに合わせて「使用者による時季の指定」すなわち使用者(以降、会社)が有給休暇取得を指示することが可能となりました。「時季の指示」とは、会社が取得日を指示するという意味ではありません。会社は労働者の意見を聴取して、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるように、意見を尊重する必要があります。
日本は有給休暇の取得率が58.3%と低いため、厚生労働省が会社へ義務付けた有休取得促進の対策として、2025年までに有休取得率を70%にする目標を掲げました。
年間5日の有休を取得していれば上司の指示を受ける義務はない
会社側が、労働者の有給休暇を指示できる場合は限られています。例えば、有給休暇が年10日以上付与されており、すでに年間5日の有休を取得している労働者は、会社からの指示で有休を取る必要はありません。加えて、年5日の有休を取得している労働者に対して、会社側が有休を指示することもできません。
そのため「月末までに有休2日取ってね」と言われた場合は、おそらく年5日の有休を取得しておらず、会社側が労働基準法を守るために出された指示と考えられます。
有休を5日以上取得しているのに上司が指示をしてきたら
有給休暇は労働者の権利である一方、会社も有休を取得させなければ罰則が科されるため、有休の適切な取得が双方にとっても重要です。
会社が年5日の有給休暇を取得させなかった場合は、労働基準法第120条に規定される通り、労働者1人の違反につき30万円以下の罰金が科されます。そのため、まずは、自分が認識している取得済みの有休日数と、上司が把握している日数に相違がないかを確認しましょう。
有給休暇の日数はどうやって決まるの?
年間5日の有休取得が必要なのは、年10日以上の有給休暇を付与されている人ですので、フルタイムの会社員だけではなく、パートタイム労働者も対象になります。
では有給休暇の付与日数は、どのように決まるのでしょうか。会社の規定や法律で決まっている範囲について、労働基準法に基づいて労働者が行使できる権利を、詳細に解説します。
有給休暇は労働基準法で詳細に規定されている
有給休暇は、労働基準法に基づく労働者の法定権利です。有給休暇の取得条件は、以下の2点です。
・半年間継続して雇われている
・全労働日の8割以上を出勤している
6ヶ月間継続勤務し、そのうち8割以上を出勤した場合は、原則として10日の有休が付与されます。パートの場合でも、1週間の労働日数と継続勤務年数から割り出された日数が、1年に一度付与されます。
有休以外の年休は会社の規定で決まっている
労働基準法で規定された有給休暇以外に、会社は、独自の特別な休暇制度「特別休暇」を設けることもできます。特別休暇は、年5日の有休取得義務の対象とはなりませんので、特別休暇を取得した場合であっても、有休を5日取得していなければ、会社による休暇取得の指示を受ける可能性があります。
計画的に有給休暇を取得できるように上司や同僚とコミュニケーションをとろう
有給休暇は労働者の権利ですが、職場に迷惑がかかるからとか、後で忙しくなるからといった理由で、有休取得にハードルを感じる人も多いようです。
一方で、勤続年数と労働日数から、年間で付与される日数は決まっています。上司や同僚と連携をとりながら、計画的に有給休暇のスケジュールを立てて、リフレッシュできる充実した休暇を過ごすことも大切にしましょう。
出典
厚生労働省 休み方に関するマニュアル(5-9ページ)
厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト 労働者の方へ 年次有給休暇とは
厚生労働省 令和4年就労条件総合調査 (4) 年次有給休暇 (4ページ目)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー