更新日: 2024.01.07 働き方
上司に「あなたはマナーがなってない」と、毎日マナーに関する本を読み、感想文を書くよう強制されています。仕事というより「嫌がらせ」としか思えないのですが、パワハラではないでしょうか…?
その際、「勉強するように」とマナー本を読むよう命じたり、読書感想文の提出を強要したりする上司がいたら……ここでは、職場の上司からのそうした行為がパワハラに該当しないかを含めて解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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職場で起きるパワハラの種類と特徴
身の回りにはいろいろな「ハラスメント」が存在します。職場における「パワハラ」(パワーハラスメント)もその一つで、上司などの立場を利用して部下を叱責したり、理不尽な要求をしたりすることが該当します。
そうしたパワハラによって、精神的に大きなダメージを受けて退職を余儀なくされる結果につながる場合もあるのです。そうならないためには、職務内容や仕事に関する指示などがパワハラに該当しないか見極めることが重要です。なお、厚生労働省「NOパワハラ」によると、職場でのパワハラには6類型に分類されています。
・精神的な攻撃
人前で叱責したり、必要以上に繰り返し叱ったりするなど
・身体的な攻撃
殴る、蹴る、丸めたポスターなどで叩くなどの暴力
・過大な要求
スキルが追い付かない仕事や他人の仕事を押し付けるなど
・過少な要求
担当業務とは直接関係ない簡単な仕事だけを命じるなど
・人間関係からの切り離し
席を別室に置くなど物理的な切り離し、職場内での親睦会に出席させないなど
・個の侵害
家族や恋人など私生活に対する侵害など
職場内でのマナーは必要だが……
今回の質問でポイントになるのは、質問者が上司からマナーの悪さを指摘されたうえ、マナー本の読書感想文提出を連日のように求められていることです。また、自身の業務そのものとは全く関係ない文書作成のため、精神的なつらさを感じるであろう点も見逃せません。
まずは「あなたはマナーがなっていない」という上司の発言です。ただ単に「マナーがなっていない」だけでは抽象的すぎるといえるでしょう。質問者が行っている言動のなかで、なにが問題になるのかを明確にしなければなりません。マナーの悪さを指摘することについては、「業務の適正な範囲」とみなされるケースもあるので、その辺の線引きが難しいところです。
例えば営業職や接客業など、外部の人と接する業務でマナーが問われるのはいうまでもありません。また、挨拶や報連相(報告・連絡・相談)などは、どの部署に配属されても必要最小限のマナーといえるでしょう。
しかし、職場での上下関係を悪用して部下を支配するような行為なら、到底許されるものではありません。また、読書や感想文をまとめるために時間が取られた結果、本来の業務に及ぼす影響も避けられません。
場合によっては読書や感想文作成を帰宅後に行うことにもなるでしょう。もし、担当業務と読書及び感想文提出、その両方を時間内に求められるのなら「過大な要求」を通り越した無理難題ともいえます。
一人で抱え込まないことが大事
職場での研修会に出席した後、その感想も含めレポート提出を求められることはよくある話です。しかし、特定の個人だけに義務付けたり圧力をかけたりするのは、明らかなパワハラ行為です。もし、自分が受けている行為に心当たりがある場合は、一人で抱え込まないことが大事です。
「パワーハラスメント対策の法制化」(労働施策総合推進法の改正)により、事業主にはパワハラに関する相談体制の整備をするなど雇用管理上の措置が義務付けられています。もちろんプライバシーにも配慮されているので、パワハラだと感じたときは職場の相談窓口の利用を検討しましょう。
「パワハラ」への気付きが大切! 理不尽な行為を受けたら相談する勇気を持とう
上司から厳しい指導を受けることがあっても、「業務の適正な範囲」との見極めが難しいかもしれません。しかし、上司の言動に納得できないときや理不尽な行為を受けた場合は我慢しないことが大切です。そのためには、パワハラだと感じたら職場で相談する勇気を持ちましょう。もし、職場内での解決が難しいときは公的な相談窓口を利用してください。
出典
厚生労働省 NOパワハラ
厚生労働省 令和2年労働施策総合推進法の改正(パワハラ防止対策義務化)について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー