更新日: 2024.01.07 働き方

「毎日1時間は残業したら?」と上司に促されました。正直、固定残業代をもらっているのに残業する気になれません…。

「毎日1時間は残業したら?」と上司に促されました。正直、固定残業代をもらっているのに残業する気になれません…。
長時間にわたる時間外労働が問題視されている中で、固定残業代の制度を導入する会社も存在します。固定残業代とは、毎月の基本給に加えて一定額の残業代を支給する制度です。企業が従業員の残業時間を想定したうえで支給額を設定し、実際の残業時間に関わらず残業代を受け取れます。
 
しかし、固定残業代が支払われている以上、残業は絶対に行わなければいけないのでしょうか。上司から残業を促された場合、断っても問題ないか気になる人もいることでしょう。
 
本記事では、固定残業代について解説します。固定残業代が支給されていると、絶対に残業しなければならないのかもまとめているので、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

固定残業代とは?

固定残業代とは「みなし残業代」とも呼ばれており、以下の2種類に分類されています。

●基本給に加えて固定残業代を支給する
●基本給に固定残業代を含めて支給する

従業員が残業すると想定して一定額を支給する制度で、実際の残業時間に関わらず残業代を受け取れる制度です。例えば、雇用契約で「月30時間の残業を含む」などと定めていれば、月30時間までの残業代は基本給と別に支給されません。
 
固定残業代は上限時間が定められていないため、時間は企業側で設定が可能です。しかし、厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」によると、法定労働時間(1日8時間または週40時間)を超える残業は「36協定」によって1ヶ月45時間、1年間で360時間を上限としているようです。
 
そのため、固定残業代を設定する際には、1ヶ月45時間を超えないようにする企業が多いと認識していいでしょう。
 

効率良く仕事をすれば実際よりも多くの残業代をもらえる

固定残業代が支給されることによって、効率良く仕事をすれば実際の残業時間よりも高い残業代の受け取りが可能です。また、残業を一切行わなかったとしても、固定残業代は支給されます。固定残業代は、1ヶ月の残業時間に対してではなく、定められた一律の金額が支給される制度だからです。
 
固定残業代は、業務の繁閑によっては残業代が大きく変動して、収入の安定性が欠けることを避けられます。また、毎月どのくらいの収入を得られるのかを明確に把握できるので、収入と支出の管理もしやすくなるでしょう。
 
なお、設定された固定残業時間を超過した場合は、残業代が追加で支給されます。残業代が固定に定められているとはいえ、定額で働かせ放題を目的にした制度ではありません。
 

固定残業代をもらうことで絶対に残業をしなければならないわけではない

固定残業代をもらっているからといって、残業を絶対にしなければならない決まりはありません。固定残業代の支給額と実際の残業時間は関係なく、毎月一定額を支払うと定めています。残業時間が少なかったり、定時退社を繰り返したりしても制度上、特に問題にならないのです。
 
上司から「毎日1時間は残業をしたほうがいい」「固定残業代の時間分は残業をしないといけない」と強制するのは違法と見なされます。
 

固定残業代が減る・余った時間分が翌月に繰り越される場合がある

ケースとしてはまれですが、企業によっては「固定残業代が実際の残業代を下回った場合は、余った時間分を翌月繰り越す」といった規定を設けています。その場合、残業時間が少なくなった分だけ、固定残業代が減少する場合がある点に注意してください。
 
例えば、25時間分の残業が想定されていて、実際の残業時間が10時間だった場合、翌月以降に15時間分の残業の対価を固定残業代として支給することです。
 
勤務先が固定残業代の制度を導入している場合、雇用契約や賃金規定で残業時間に関する条件を定めていないか確認しておくといいでしょう。
 

固定残業代をもらいながら残業をしなくても違法ではない

固定残業代をもらっている中で、絶対に残業をしなければならないといった決まりはありません。固定残業代は、支給額と実際の残業時間は関係なく、毎月一定額を受け取れる制度だからです。
 
残業時間が短くても、定時退社を繰り返しても、固定残業代は支給されます。ただし「繁忙期で残業をしなければ業務を円滑に進められない」といった状況であれば、残業を断るのではなく協力する姿勢を見せることは大切です。
 

出典

厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集